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自己紹介《5》
緊張のあまりガタンっと椅子がならせてしまいながら立ち上がる。
あ、やべぇどうしようやべぇ。緊張やべぇ…!
無理だって俺には緊張になんて勝てやしないんだ。毎回なんだよこの時期特有の症状なんだよ…!立ち上がってもなかなか始まらないのでみんな視線が俺に集まる。無理無理しんどい。
すると、初瑪が俺だけに聞こえる声で喋りだす。
「緊張しすぎだろ馬鹿だろ」
何でそんな嬉しそうな顔して笑ってんだよ!!
笑うなら助けて!
俺も初瑪にしか聞こえない声で訴え返す。
「無理無理……話し出しちゃえば大丈夫なんだけどその前は壊滅的に無理なんだよ!!」
「…ったくお前はどんだけなんだ。りぃ、命令。早く自己紹介しろ」
「何で俺が命令されなきゃならないんだよ!」
「りぃ、俺の言葉は“絶対”だろ?」
こ、ここでそれを言うか普通!?
これほどまで酷いやつを俺は見たことないぞ!
でも、その約束は破れるわけはなく……
「わかった…」
俺はゆっくり話し出す。
「俺は篠宮李絃。えっと、ものすごく緊張してるので大目に見てください……あー、えっと、好きなものは読書とか…まぁそんなので、チーズケーキ年中欲してます…!ああっ、違う!えっと、好きな食べ物がチーズケーキで……あ、え、ちょっ……」
緊張のあまり頭の中で浮かんだ言葉が文章にならずにごちゃごちゃに口から出てしまう。
どうしよう。頭がパニクってきた!
みんなからの視線がぁぁ!
視線が無理だ!!!!
「アハハ…ハッ…………………無理だよ!!」
ついにかるくショートした。
「……無理無理っ!だって緊張するもんは緊張するんだ!お願いしますあんま見ないでください視線が耐えられない。いやね、発表している人の方を向いて聞きましょうってのは小学校で最初に習うことだけども、だけども!誰か1人ぐらいそれを破って俺を見なくてもいいんじゃないの?みんないい子すぎだよ!いいんだけども!こんな立派な高校生に育だったのはめっちゃいいことだけどぉぉぉ!!」
「李絃!?ちょっ、李絃落ち着こ?ね?」
「だって、だってだって〜!もう俺はこれから先変人ってことで定着して学校生活を送るんだ!!!」
「李絃これはもうダメだねぇ……あ〜あ」
俺はその後もう少しショートしたままいた。
授業が終わり俺が元に戻った時は休み時間だった。そして、俺は何故かクラスのみんなから嫌われるもなく、逆に質問されたり、友達になろうと言われたり、遊ぼうと誘われたり……なんかうまく言っててビックリした。雰囲気が温かくってヒビった。
え?え?ええと、何これ?
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