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お着替えしてるだけ《1》
「ただいまー!」
「誰も中にいないだろ」
「いや、そんなこと気にしてたら俺はこのまま“ただいま”って言えない生活を3年間続けることになるだろーが!!」
「お前の訴えるポイントがいまいちよくわからないが…まぁ、いい。俺もまともに入ったのは初めてだからな」
「…あぁ、最初は不法侵入だもんな初瑪は」
「りぃ、何か言ったか?」
半ギレっぽい声色をした初瑪に俺は何も言わずに中に入り、台所に急ぐ。持っていた買い物の荷物を一旦テーブルに置き、私服に着替えるために部屋へと向かう。
「初瑪も買い物そこに置いて、先に着替えちゃおーぜ!してから、ご飯作る!」
「わかった。アイスだけ冷蔵庫に入れて置くな」
「おおっ、初瑪サンキュー!」
初瑪は冷凍庫にアイスを入れると、自分の荷物を全て持って、小走りで俺のあとを追ってくる。いや、置いてかないなら大丈夫だって。
家の中だし部屋は限られてるからな?
そんな初瑪の隣に歩み、手に持っている荷物をひとつ奪う。利き手の方は荷物は肩にかかっているので取りにくいから手から奪う方が早い。
「いきなり何するんだ」
「持ってあげてんの。どうせ行き先一緒なんだからいいだろ別にー!」
「部屋から部屋に移動するだけだが」
「いちいち気にすんなよ!」
さっき帰りによった初瑪の家はでかそうだった。そうだったってなってるのは、家の前まで俺は行っていないからだ。正確に言うと行かせてもらえなかったんだけどな!
見せたくないって言われたんだよ!何でって言おうとしたら「りぃ?」なんて初瑪に言われちゃ頷くしかねぇだろ!お前は勝手に人んちに不法侵入してきたくせに!
…なんて言ってやりたいわアホ!
今度は見せてもらおう。
だってなんか気になるじゃん。
「ありがとう、りぃ」
荷物がちょっと重いのなんて気にしてれるか。
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