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やってみたいこと《1》side初瑪

さっきから、りぃの視線が俺に向かったまま動かないでいた。 着替えにくい。早く目を逸らしてほしい。 「あんまジロジロ見ても何もないが?」 「あっ、いや、何でもねぇよ」 何もなかったら何で見ているのか… 俺は普段好んで運動などはしないが、休みの日などには時折近くの楠堂に行き、本の陳列やポップ作りなどをしている。本を運んだりするのに体力を使うので、軽く一種の運動のようになっている。やっと目を逸らしたかと思い、りぃを見るとりぃの背中が目に入った。すごく焼けている訳でもなく、すごく白い訳でもない…そんな感じだ。 特に感想はない。 ただ、ちょっとやってみたいことがある。 完全に油断しているあの背中に、さっきアイスをしまった事で冷たくなっている手をあてたい。反応が目に見えてわかるがやってみたい。 そのままりぃの背後に近づくとらりぃが気づいたのか振り返ろうとするが構わず手を服の中、背中に当てる。 「ッひゃっあ!」 …予想の斜め上を超えた反応が起こった。 「お前いきなり服の中に冷たい手を入れるなんてするんじゃねぇーよ!!何してんの!てか、何でそんな手冷たいんだよ!!」 思わずその場にうずくまり、ベットに顔を埋める。予想以上にりぃの口から可愛い声がでた。 りぃのことだから微塵も色気のない声でびっくりするだろうと思っていたが、まさかの逆だった。ッひゃっあ!ってなんだ………っ! 言っておくが俺は別に根っからのゲイではない。世間でいうバイだ。女も男も守備範囲。 興奮できて気持ちよければそれでいいそれが条件。わかりやすくいえば、クラスで友だちをくすぐりあっていて、急にちょっと顔のいいその友達が甲高い声を出して「え…っ?!」となる現状とさほど変わりはない。普通のヤツはそこで留まるのだが、俺の場合は手を出したくなる。 まぁ……キスくらいの経験はあるが、そこから先の経験は同性とはない。知識は一応あるので今からヤるっていったらぎこちないが、まぁヤれるだろう。俺も相手ぐらいは少なくとも自分の好みがいい。 で、問題はりぃだ。

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