「……っ！！」 足を全力でバタつかせ、りぃが手で背中を叩く。だが、慣れてない…または初めてのこのキスじゃすぐに力がより入らなくなったのか、そんなこともすぐに無くなった。 舌をりぃの口の中で自由に動こかせる。 歯ぐきに沿って舌を這わし、舌を絡めとろうとりぃの舌を探す。必死に逃げようとしているのだろうが、そのせいで自分から絡めやすくしてしまっていて、すぐに捕まえることが出来た。 口元から水音がし、唾液が絡む。 「……んっ……ぁ……んんっ…ぁ…ぅ」 りぃの漏れる声が時折小さく響き、耳に入る。 ……だから何でそんなに可愛いんだ。 りぃの声は少し高く、部屋に響きやすい。鼻から抜けるような声で、正直喘いでるように感じられる。たぶん、少しは気持ちよくなっているだろう。いや、それより抗えなく耐えているだけか。まぁ、どちらでもいい。 そのままキスをしていると、りぃが何を思ったのか俺の服を掴んだ。 少し震えている……のか？ そう思いキスをやめ、りぃから離れる。だが、りぃは動けないのかそのまま固まっていたのでもう1度近づき、起きあげさせ離れる。はぁ…はぁ…と息を整え、落ち着いてきたのかりぃは目に涙を溜めながら声を荒げる。 「……な、何すんの…っ！………何で…こんなこと…すんだよ…っ！」 「どんな顔するのか、と。まぁ、少しやりすぎたとは思っているが…今のお前、俺のそそる顔してる」 「……して、ない！」 「してるな。どうしてこんなことになったかわからない疑問と、何でキスされて抵抗できなかったのかという悔しさ、その今にも泣きそうな歪んだ顔はイジメたくなる顔なんだよ」 「…そんな理由でキスなんてするなよ」 そう思うのは真っ当な人間だけだ。りぃみたいな感情を持っている人が大半だが、世の中には俺みたいなやつも沢山いるのがこの世界だ。 「俺にとってキスはただの手段だ。俺は恋愛などそんなことでする為だけにキスするヤツじゃない」 その場しのぎの気持ちでいい。 いくらキスしたって体が繋がったって、それをずっとにしない。その場だけのことでいい。 お互いがそう思っているから。 俺はそんな人間だ。 だから、キスなんてただの手段に過ぎない。 りぃは違うだろうけどな。