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梅好き?《2》
床にある物を踏まないように本棚に手を伸ばし、中段くらいにある目的の本を取る。
お母さんのだから結構古びている。
夏目漱石は教科書とかでも取り上げられたり、
“ I LOVE YOU ”の日本語訳でよく知られてる(小説のネタとして調べたことがある)から読んだりする。
俺が読むと「えっ、そんな本読むんだ」って感じしか目に見えねぇけど、初瑪が読むと様になっている気がしてならないからムカつく。
イケメンは何でも持ちすぎなんだよ!!
元に戻り、扉は閉め…あー、また来るからいいや。ってことで閉めずにリビングに戻る。
「初瑪、はいどーぞ“こころ”です」
「ありがとう。だが、その言い方だと俺に心がないみたいに聞こえるぞ」
「え??初瑪に人を思いやる心なんてないじゃん」
「例えば?」
「手段という名の無理矢理してくるキスとか」
「……また、されたいのかリぃ?」
「二度とごめんだよ!アホか!」
誰が男にまたあんなキスをされたいと思うんだよ。とんだヤツだよ。バカだよそんなヤツ。あ、男だとそういう人に失礼だから男じゃなくて初瑪だな。
そうそう、初瑪。
「そういうとまたしたくなるな」
「とんだクズヤローだな!おいっ!」
「りぃ、うるさい」
「何で、そこで俺がそう言われなきゃならないの?!」
あぁ、もうほっとこ。
「もう、俺部屋いくから。夕飯近くになっても出てこなかったら呼んで。なんか作るから!」
「……俺がつくってもいいが?」
「いいよー!やるから。何食べたい?つってもそんな大層なもんは作れねぇかんな」
「…梅茶漬け」
「おうおう梅茶漬けな梅茶…え、梅茶漬け?」
梅茶漬けって言った?
あ、いや、お茶漬け好きだしいいんだけど作るのも楽だし食べるのも楽だしね、まさか初瑪が望んでくると思わなかったよ…!
そう聞くと初瑪は「そう」と答えるので俺も
「それでいいならそれにするよ。作るのも楽だし!」と言って部屋を出る。
おにぎりの具材のときも初瑪は梅って言ってなかったっけ?
好きなのかな梅。
覚えとこ。
……ってアイツの好物知って何がいいんだ俺!
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