68 / 174

駅前のケーキ奢りです《3》

「あのっ!カフェに来たんですけど…えっと、篠宮で予約してあります!」 碧が店員さんに言った。年上のお姉さんによくモテる碧だからか、店員さんもすこし頬を染めている気がする。って………待って、え。 予約名、俺の名前なんだけど? 店員さんは何も疑わず、予約してあるか確認すると「4名様ですね!どうぞ、お席にご案内致します」といい、俺らをカフェの奥の角席に案内してくれた。俺と碧が壁側の席で向かいに座り、その隣に2人が向かいに座った。 「ご注文お決まりでしたらお知らせください」 「はいっ!ありがとうございます♪」 碧が受け答えると、店員さんはぱたぱたと戻っていった。 「いやぁ、ほんとに女子しかいないなぁ!」 「躊躇いもなく入る相澤かっこよかったぜ!」 「えへへ〜よくわかんないけどありがと♪」 そんな話をしている隙に俺はメニューをとり、気になっていたチーズケーキセットを見つけた。 「篠宮どれにすんの?奢ってやるよ、俺とコイツが!好きなの選べよー」 「これ!」 「おおっ!なんの迷いもない即答」 「ずっと食べたかったんだよ、これ!」 「じゃあ、それな。ちょっと待ってな、俺らもせっかく来たからなんか選ぶから」 「食べられるなら何時までも待つ!!」 予約名が俺だったのは気になるけど、そこまで追求するまでじゃないし、別にいい。 「おしっ、篠宮ー!そのボタン押して」 「OK!注文だな!」 数分後には頼んだ商品が来て、そのまた数分後には目の前からケーキ類がお腹の中へと消えていた。 「あ〜美味しかった〜!ヤバい、チーズケーキめっちゃヤバい!美味しいめっちゃ美味しかった!!」 「そんなかよ、喜んでんならかまわないけどよ」 「おうっ!ありがとな!2人とも」 2人は笑って頷いてくれた。 いい友をもったよ母さん………!! 食べながらこの後のことを話したりけど、あいにく1人が塾があるらしく、早めに帰らなければならないらしいから今日はケーキだけでお開きすることになった。 俺はケーキだけでバッチリ満足だ! ここで軽く支度を済ませ、席を立つと、もうその女子空間になれたからか、入った時のように身を縮めて歩くのはなくなった。 「篠宮は先、外出てていいぞ。俺らも払ったら行くから!」 「ホントに奢ってもらっていいのか?」 「いいっていいって!奢るって言っても篠宮の分を2人で割り勘するんだし大してなってないから!」 「お前ら好きーーー!」 「ありがと!!じゃ、店の前で待ってて」 「李絃迷子になっちゃダメだよ?」 「こんな目の前で迷子にはならねぇわ!!」 言われた通り俺はレジの横を通り過ぎ、店から出る。入口をすぎたところで立って待ってよっかなって思っていると、スマホの呼び出し音がなったのでポケットから急いで取り出し、電話に出る。

ともだちにシェアしよう!