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アルバム事件 その2
「あ、懐かしい...」
パラパラとページのめくれる音。それと共に流れ出す冷や汗。突然に譲がアルバムを見たいと言い出すから、戸棚から引っ張り出してきたが......。
「これ七夕だ。すっごい懐かしい.....ん....あれ、誰これ?」
誰が見ても分かるくらい、いま俺の顔は引きつっているんだろう。なんでいきなりアルバム見たいとか言い出すんだ。
「3月3日...ひな祭り?へー、可愛い...着物きてる」
それが誰かだなんて、譲は覚えていないだろう。2,3歳の頃だから。確か、写真館に行ってわざわざ撮ってもらったんだよなぁ...。
「でも超不機嫌顔。こんだけ可愛いのに写真撮られるの嫌なんだなー」
それは、被写体の子が写真が嫌いで嫌いでしかたなかったからだ。その写真だって、お菓子もらって嫌々ながらも撮った一枚だ。
「あ、なんか書いてある」
体がびきっと固まる。
読むな、頼むから読むな...。パソコンのキーボードを打つ手が止まり、手汗が浮き出る。
「............譲、3歳、初めての女装。結花子にも見せてやりたかった」
パタンとパソコンを閉じてリビングから逃げる準備を進める。リビングのドアのに手をかけたと同時に譲が椅子から降りる音が聞こえた。
「......朔」
「...」
「何逃げようとしてんだよ!!」
ああ、もう二度とアルバムなど見せてやるものかと心に誓うのであった。
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