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譲の嫌いなもの 1
「うわぁ...」
雲行きが怪しい。確か午後から雷雨だって天気予報で言ってた。小さい頃から雷が大嫌いで、この年になってもそれは同じだった。
それに、今日は朔の帰りが遅い。夜の方に予約が固まっているのにも関わらず人手が足りてないらしく駆り出された、と。いつもなら5~6時辺りに帰ってくるのだが、7時...下手をすれば8時に帰ることになったと今朝言われた。
「...やだ、なぁ」
いっそ雪姫のうちに避難しようかとも思ったけど、雷が怖いとか絶対笑ってくるだろうからやめた。
変な意地をはらなきゃ良かったと後悔してもあとの祭り。
「ひぃぃいっ!」
どたどたと走りダイニングテーブルの下に潜り込む。
やだ、やだ怖い...!
帰ってきたらざーー!と雨が降り出した。そこまでは良かったんだけど、数時間経つとゴロゴロと不穏な音が遠くから鳴り始めて...やばかった。もう怖くで叫ぶしかなくなってしまったのだ。
「うわぁぁあ!」
音が鳴るたびに叫ぶ。いま、6時。朔が帰ってくるまであと2時間。耐えきれるかな、おれ。
ーゴロゴロ...
「やぁああああ!むりぃいいー!!!」
無理無理無理、耐えきれな、
ーピカッ
「ぎゃあああ!」
まだ雷は遠くから聞こえてる。もっと近くまで来るんだ、と思うと気絶しそうになる。いっそのこと気絶した方が楽なのに。
ーピカッ...ゴロゴロ...
「やだああああぁあぁ!!!!!」
この年で泣き叫ぶとか恥ずかしいけど、怖いものは怖いんだよ...!
朔、早く帰ってきて…っ。
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