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第34話 愛撫④
煌めく糸を引くキスのあと、典夫は知矢を愛おし気に見つめるだけで何もして来ない。
知矢の太ももには、兄の固く大きく勃起した雄が当たっているというのに……。
知矢は真っ赤になりながら、言葉を紡いだ。
「お、お兄ちゃん……、まだイッてない……」
「……オレはいい。今日はおまえのイクところを見れただけで、すごく幸せだから……」
「…………」
お兄ちゃん、僕がなにもかも初めてだから、我慢してくれてるんだ。
でも、僕は……。
「やだ、お兄ちゃん。僕だけなんて。ちゃんとお兄ちゃんにも、その、き、気持ちよくなって欲しい……」
勇気を振り絞ってそう言うと、知矢はそろそろと兄の勃起へと自分の手を伸ばした。
「……っ……知矢……」
兄が小さく呻いて、雄がより大きくなった。
知矢の男にしては小さい手の中にはおさまりきらないほどに。
それでも知矢はたどたどしいながらも、兄の勃起を愛撫し続けた。
「……お兄ちゃん……、気持ち、いい……?」
「ああ……すごく、気持ちイイよ……知矢、知矢……」
典夫は感じ入った吐息を零しながら、自分の大きな手を知矢の手の上に重ねる。
「……お兄ちゃん……好き……大好き」
「知矢……、……うっ……」
低い声とともに兄が知矢の手の中に熱い精液を放った。
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