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第35話 愛撫⑤
弟の柔らかくなめらかな手の中で射精し、典夫は今まで覚えたことがない激しい快感を得た。
いつでもどんなときでもかわいい知矢だが、今はそれに加えて得も言われぬ色気もまとっていて。
一度イッたくらいでは昂ぶりはおさまってはくれない。
でも、今日はここまでにしておいたほうがいい。
知矢はなにもかもが初めてなのだ。
これ以上行為を深めると、許容量がオーバーしてしまうだろうから。
こわがらせたり、傷つけたりするのだけは嫌だから。
だから、典夫は弟から体を離そうとしたが、知矢は強くすがりついてきた。
「やだ、離れないで、お兄ちゃん」
黒目がちの大きな瞳で真っ直ぐに典夫を見つめてくる。
「知矢……」
「僕、もっともっとお兄ちゃんと近づきたい……。ひ、ひと、一つになりたい……」
真っ赤になって言葉を紡ぐ知矢に、典夫のやせ我慢もあっけなく壊れ去り、華奢な体を力いっぱい抱きしめた。
知矢の少しふっくらとした小さな唇を中指と人差し指でたどってから、その指をしゃぶらせる。
熱く柔らかな舌の感触に典夫の欲望はマックスになった。
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