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第36話 一つになりたい
自分から誘いの言葉を言うのは、それこそ死ぬほど恥ずかしかった。
けれど、お兄ちゃんが離れるのが嫌だった。
もっともっとお兄ちゃんを近くに感じたい。
……一つになりたい……。
それがどんな行為なのかは知識としてはあるけど、耳年増ってやつで。ちょっぴりこわくもあるけど。
お兄ちゃんの全てを手に入れたいから。
ね、お兄ちゃん、僕を宝物のように扱ってくれるのはすごく心地いいけど、僕は『壊れ物注意』のガラス細工なんかじゃないよ。
だから、ね……。
兄の二本の指が知矢の唇をやさしくたどってから、口の中へ入ってきた。
知矢は兄に促されるままその指をしゃぶる。
典夫はたっぷりと唾液で濡れた指を知矢の双丘の奥の隠された場所へと這わせていき、周りをくるくると何度かいたずらしてから、小さな穴へとゆっくり挿入する。
「んっ……」
痛みと異物感。でも耐えられないほどじゃない。
「大丈夫か? 知矢」
兄が心配そうに聞いてくるのに、笑顔で答える。
「大丈夫……」
典夫の指は知矢の中を丁寧に探っていく。
「う……ん……あっ……」
指で内壁を擦られているうちに、徐々に痛みと異物感が軽減していき、少しずつ気持ちよくなってくる。
そして、兄がある部分を擦り上げた瞬間、激しい快感が知矢の全身を駆け抜けた。
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