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第41話 一人暮らしは? ②
「でもな、知矢。オレたちが一線を越えて恋人関係になったこと、もし両親にばれたら、シャレにならないんだぞ。おまえ、ちゃんと隠し通せるか?」
そう典夫と知矢は実の兄弟……二人が愛し合う関係にあるということは最大のタブーなのである。
「お父さんとお母さんの前では普通にする。絶対にばれないようにするから、出て行くなんて言わないで……!」
必死にお願いしてくる弟が本当にかわいい。
典夫のほうも家を出るのはやめるほうに気持ちは傾いている。
だが、一人暮らしをすることの利点もある。
「オレが一人暮らしをすれば、週末にはそこで思い切りイチャイチャできるぞ? 知矢」
「う……」
知矢が一瞬言葉に詰まる。
しかし、すぐに知矢はかぶりを振った。
「それでもやっぱりお兄ちゃんがこの家から出て行くのは、絶対にやだ。朝、起きたときお兄ちゃんの顔を見れて、夜もお兄ちゃんの傍にいれる。
いっしょにいれる時間は、この家にお兄ちゃんがいてくれるほうが圧倒的に多いでしょ?」
「……そうだな」
典夫は繋いでいる手に力を込めた。
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