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第49話 愛し合いたい
典夫はミネラルウオーターを飲み干してしまうと、ベッドへ入り、毛布を少しめくると知矢を招いた。
「おいで、知矢」
「うんっ」
知矢は典夫の隣にもぐり込んだ。
いつもは知矢が隣にもぐり込んだら、反対側を向いてしまう典夫だったが、この夜は違った。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「なにが?」
「だって、いつもは僕が隣にもぐり込んだら、向こうを向いちゃうのに」
そう今夜は知矢のほうを向いて、切れ長の目でじっと見つめてくる。
なんだかちょっぴり恥ずかしい……。
「……おまえのほうを見たら我慢ができそうになかったから、ソッポ向いてたんだよ、今までは」
「えっ……?」
「それでも理性の糸はもうギリギリだったけどな。だっておまえ、いつもオレにくっついてくるからさ」
そう言って、ギュッと知矢を抱きしめてくる典夫。
「お、お兄ちゃん、は、離して……」
「どうして? いつもはおまえのほうからくっついてくるのに」
「だ、だって……」
そんな話聞いちゃったら、恥ずかしくてたまらないではないか。
「真っ赤だぞ、知矢、かわいい……」
「あっ……、お兄ちゃん……どこ触って……」
兄が背中に回していた手を下へと移動させ、知矢のお尻に触れてきた。
「あっ……やだっ……お兄ちゃ……」
やがて典夫の両手は知矢のパジャマの中に入り込み、双丘をそれぞれの手で揉みしだき始める。
「知矢……好きだよ……」
熱い吐息交じりの愛の囁きを耳へ吹き込まれ、知矢の体の奥が甘く疼く。
でも……。
「だめだよ……お兄ちゃん、下にいるお父さんとお母さんに聞こえる……」
「二人とももう寝てるよ」
確かに両親は早寝だし、眠りも深いほうだ。
それでも階下で両親がいるかと思うと、なんとも知矢は落ち着かない。
「でも……んっ……」
知矢の抵抗の言葉は典夫のキスでふさがれてしまった。
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