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第15話 強引なキス

 気が付いたときには目の前に典夫の顔があった。  ソファの上、知矢の体に典夫がのしかかるような格好になっていた。  さっきまでの酔っぱらいぶりはどこへやら、兄は真剣な表情になって、真っ直ぐに知矢を見つめている。 「お兄ちゃん……?」  その次の瞬間、知矢の唇に典夫の唇が強く押し付けられた。 「――――!?」  刹那なにが起こったのか分からなかった。  知矢が混乱に陥っているあいだにも典夫は噛みつくようなキスを繰り返しながら、知矢が着ているパジャマの裾から手を侵入させる。 「……っ……や……」  弱々しく抵抗をくり返す知矢のもとへお酒と香水の匂いが届く。  やだ……! こんなのは嫌だ……!! 「い……やだっ……!!」  知矢は思い切り典夫の体を突き飛ばした。

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