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おもちゃの反逆

 何度僕をどん底につき落とせば気が済むのだろう、この人は。  いいや、気が済むことなんかないんだな。  この人は、僕を悲しませて楽しんでるんだから。  愛してる、なんて白々しい嘘を、顔さえ見れば吐き出して、その言葉と引き換えに、僕の身体をいいように弄ぶ。  嘘だとわかっているのに、その時だけは、今回だけは、と信じたくなって、つい身も心も委ねてしまう。  そしてまた、ひとり。  使い捨てのおもちゃみたいに、使い終わればほったらかし。そしてまた、少し時間が経ったら、またこのおもちゃで遊ぼうって、気まぐれにここへ来るんだよね。  でももう僕、物分りのいい都合のいいおもちゃでいるの、やめにしたんだ。 手始めに、あんたには家族があることがわかったから、子どもが通ってる学校調べといたからね。

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