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出会い 1

 千尋を寝かしつけるのを理由に居間を退散した僕は、千尋が寝るまで仲良く絵本を読んだ。 毎年誕生日には絵本を送ろうか。美咲にもっとちゃんと絵本のことを聞いておけばよかった。  穏やかに眠る顔を見下ろしながら額に手を添える。何があっても僕は君の味方だ、千尋。唇をそっと頬に落とし部屋をでる。  さて、仁に電話をするか。君が心配した専務さんとの話し合いはうまくいった。たぶんこれで僕はようやく戻ることができそうだ。君たちのところへ。  本当に偶然だった。僕たちが仲良くなるきっかけは普通に過ごしていたら無かっただろう。  僕がヘタクソな絵を描くことで美咲を見失わないことにしがみついていなかったら?  仁が「人たらし」じゃなかったら?重と朝倉が中庭にいなかったら?  本当に縁とは不思議なものだ。

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