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episode4_4
部屋のリビングに通された二人は、ソファーに向かい合うように座り、貴央は李央の横に腰を下ろした。
「李央会いたかったよ」
「俺もです」
李央の言葉を聞いた貴央は嬉しそうだ。
李央の頬を撫でた貴央は、臣の目を気にする事なくキスを交わした。
右京 貴央 。
李央と血の繋がった、五つ上の兄。
二人はどことなく似ているが、醸し出す雰囲気が違う。李央は近寄りがたい妖しい雰囲気だが、貴央は親しみやすい穏やかな雰囲気。
でもそれは見た目だけのもので、本性を知っているのは李央と臣だけ。
普通、兄弟同士でキスなどしないが、この二人は普通ではない。だからそういう行為をするし、されても拒否をしない。
事の発端は、李央がまだ高校生の頃。
普通な日々を送り、普通に人を好きになり、普通に女性の体を愛していた李央。
自由な李央に対して貴央は、家を留守にすることが多かった両親から、「アナタは李央のお兄ちゃんなんだから、しっかり李央の面倒をみて、守ってあげなさい」と、日々言い聞かされ育った。
李央は自分が守ってやらなくては。
李央には自分が必要なんだ。
李央は俺のモノ・・・。
無責任な両親が貴央にそう刷り込んだ。
それが歪んだ愛情に変わるのに、そう時間はかからなかった。
そんな感情に気づいていた貴央だったが、それは異常な事だと理解していた。抑えて堪えて見守るだけに努めていた筈だった。
李央も李央で、両親が貴央に全てを押しつけていたのは知っていたから、なるべく迷惑を掛けないように、負担にならないように心掛けていた。
自分がいると兄さんは自由になれない。
そんな考えから、李央は段々と帰宅する時間が遅くなりはじめた。
そしてある日、いつも通り日付が変わる頃家に帰ると、リビングで自分の帰りを待っていた貴央が初めて怒りをぶつけた。
李央も李央で、兄さんの為にと思ってやったことを否定され黙っていられなかった。
きつい物言いで返すと、堪えていたタガが外れた貴央に襲われ犯された。俺のモノだと繰り返し囁かれ、一晩で何度も犯し、李央本来の精神を壊した。
今の李央を作ったのは紛れもなく貴央だが、最初に男の味を覚えさせたのは貴央ではない。
「こうやって三人でするのはアレ以来かな。ね、臣。お前がセックスがうまくてよかったよ。お陰で李央は男の体が好きになった」
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