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episode6_2
あの日のことは李央にとって思い出したくない記憶のはず。
実の兄に犯され、誰にも助けを求められず、長い長い苦痛の日々。
トラウマになっていてもおかしくない。
けど、李央は表情を曇らせることはなかった。
『話は後だ。シャワーを浴びてこい』
にやける瞳に見つめられ間合いを詰められた臣は、李央の躰を翻すとバスルームまで連れて行き押し込んだ。
水しぶきの音を聞き、ひとまず息をついた臣はキッチンに向かい料理を始めた。
包丁がまな板を叩く規則正しい音をさせながらぼんやりと思い出すのは昔の李央だ。
貴央に犯されながら自分に助けを求めるように伸ばされた手を忘れられない。
あの時、違う行動を取っていたら未来は変わっていたはずだ。
あの時、自分が貴央を止められていたら。
『…はあ』
『なーにやってんの』
考え事に耽っていると、突然背後から声を掛けられた臣はびくりと肩を跳ねさせた。
『っ…お前服を着ろ。用意してあっただろ』
『いいじゃん。どうせすぐ脱ぐんだし』
臣が振り返ると李央は裸のままだった。
拭き足りない髪から滴を垂らしながら李央は臣の首に腕を絡めた。
『どういう意味だ』
『セックスしよ、臣』
『からかってるのか』
『違うよ。したくなったからだよ』
『そんな気分じゃない』
『すぐその気になるって』
口角を上げた李央は臣の唇を貪りながら、既に反応している下半身を服越しの臣の股間に擦り付けた。
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