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episode1_2
タクシーが夜の繁華街を十五分くらい走ると、小洒落たアパートの前に停車した。
上機嫌な李央はアパートの階段を軽快に上がり、スラックスのポケットから鍵を取り出して一室の玄関ドアを開けた。
「お邪魔しまーす」
鍵を手のひらの上で空中に放り投げながら室内を進み、リビングらしき部屋に入った。更にその奥にあるドアをノックもせずに押し開く。
「俺も混ぜて・・・って、あれ」
大きなベッドが中央に置かれた部屋には誰も居なかった。
期待していた李央の眉間に皺がよる。ベッドの上の乱れたシーツから、誰かが居たのは確かだがその張本人達がいない。
「風呂でも入ってるのかな」
溜息一つついて部屋に足を踏み入れたのと同時に、李央の後方から物音がした。
「何やってる」
聞こえた声に振り向くと、上半身裸の臣 が濡れた髪を拭きながら歩いてきていた。
「混ぜてって言ったじゃん。相手は?」
「いない」
「帰すなって言ったのに」
「帰すに決まってるだろ」
「はぁー、つまらない事するなよ」
がっかりした李央は、ベッドを後ろ手に立つとそのまま倒れ込んだ。
「臣のせいで萎えたじゃん」
「萎えたのはこっちだ」
お互いに溜息をつくと、臣は大の字で寝ている李央の横を通りヘッドボードに置いてある煙草に火を付けベッドに腰を下ろした。
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