ごめんなさい、そう言おうとした口は李央に塞がれてしまう。 突然のことで何が起きたのかわかっていない広夢の唇を割って舌を滑り込ませれば、キスされていることにようやく気がついたのか、ぎゅっと目を閉じて体に力が入った。 何をするにもお互いが気持ちいいと思える方が快楽はより増幅する。 腰に回した手をティーシャツ越しの脇腹に滑らせ撫でた。 「んんッ」 くすぐったさに身を捩り力が抜けたところへ更に舌を深く差し込めば、ビクリと体が跳ねて甘ったるい声が漏れてきた。 「広夢、舌」 「はあ、は、はい・・」 唇を合わせたまま要求すれば溜息のような返事のあと、口内の奥に縮こまっていた舌が恐る恐る李央の舌と合わさる。 李央がリードして舌を大きく絡め取れば、広夢も真似をして応えた。 途切れ途切れの鼻にかかる喘ぎを漏らして気持ちよさに酔っていると、ピリッとした痛みに広夢の眉間に皺がよった。 舌を吸われて痛みが走っているはずなのに漏れてくる喘ぎはさっきと変わらない。 終始目を開けている李央は、暗がりに見える苦しそうな表情を楽しんだ。 しつこいくらいに続けられ、広夢は訴えるようにスーツの胸元を掴むと、やっと唇が離れた。 「はあ、はあ、ッ」 呼吸が荒く時折息を呑む広夢の表情は、まだ快感の中から抜け出せていないようだ。 「映画見る？」 「っ、もう・・」 頬を撫で耳朶を親指でくすぐられると、首をすくめた広夢は物欲しそうに李央を見つめている。 「ん？」 「も、もう一回・・・したいです・・」 効果音が響く中、か細く強請った言葉を李央は聞き逃さず、広夢の願いを叶えてやった。