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第53話 淋しさの行方④

「ん……。」涼矢は気怠そうに前髪をかきあげて、身体を起こす。「ローション…と…ゴム……。」と言いながら。ローションは枕元に置いてあるからすぐに出せたが、コンドームの残りは確か、和樹のバッグに戻してしまった。 「ゴムなしでいい。指も要らない。」 「いきなりでいいの?」 「俺だって結構限界なんだよ。早くしろ。」和樹と涼矢はさっきまでとは上下入れ替わる位置になった。 「バックのほうが楽? 股関節がどうとか……。」 「このままでいい。おまえのイク顔が見たい。」 「俺、加減できないかも。」和樹の入口にペニスを押し当てる。 「いつもしてねえだろ。」 「そうだった。」涼矢は和樹の中に入って行った。 「あっ……はぁっ……んんっ。」涼矢の進度に合わせて、和樹が喘ぐ。 「和樹。大好き。」奥までたどりつくと、涼矢は和樹に優しく微笑んだ。そして、その表情とは裏腹に激しく前後に揺さぶりはじめる。  待ち望んでいた快楽に身を委ねながら、和樹は涼矢を見た。涼矢も頬を紅潮させながら愛しげに和樹を見ていた。和樹は目をつむり、自分の快感に集中しようとした。その時、ふいにその両目からぽろぽろと涙がこぼれてきた。 「……どうした。」涼矢の動きが止まる。 「なんでもな……。」和樹は片手で涙を拭った。 「痛い?」 「そんなんじゃないから。ごめん。涼矢、ちゃんと、気持ち良い?」 「おまえが気持ち良くなれよ。」 「なってるよ。なりすぎて、泣けてきちゃったんだよ。いいから続けて。」 「なん…っだよ、それ……。」涼矢が再び動き出す。 「あっ……いいっ……もっと。」 「和樹、なんか、中、すごいんだけど。イッていい?」 「だっ。」返事と喘ぎが混ざる。「まだ、だめっ。」 「……はっ……和樹のここ…キツイから……。」 「もっと。」 「んっ。」涼矢がなんとかこらえながら和樹の弱いところを責める。和樹はそこに集中しているうちに、ようやく泣きやんだ。 「もっとして。」和樹の声もうわずってきた。「もっと……あっ、いい、涼、そこっ。」和樹の腰が浮く。「あっ、すげ、いいっ。」 「ここ……こすると、和樹、すぐ……イっちゃうよね。」 「涼矢も……一緒にイッて。」 「ん……。」眉間にしわが寄る。 「や…もう……イク…から……。」 「俺も。」  二人ほぼ同時に果てた。ふう、と大きく息を吐いて、涼矢が和樹の隣に横たわる。

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