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第76話 between the sheets ②

 取り替えられたタオルケットの上に向き合うように座り、さっきとは全然違う、軽めのキスを何度も繰り返した。チュッ、チュッという小鳥のさえずりのような音を立てながら。  そのうち、和樹はじれったそうに腕を涼矢にからめた。涼矢も同じように和樹の背に腕を回し、そのまま和樹を抱き寄せると、Tシャツの襟元を少し伸ばして、一昨日つけたキスマークに再び唇を押し当て、強く吸った。「一生消えなければいいのに。」涼矢が和樹の肩に顔を乗せるようにして、呟く。涼矢が初めて口にした、和樹への支配欲。和樹は、涼矢の背中に回していた腕の力を強めた。  涼矢の手が、和樹のTシャツの中に入ってきた。和樹の小さな乳首をつまむ。手のひらでこねるようにすると、小さいながらも硬さを増して、コリッと立つ。 「あんっ……。」と和樹の声が漏れる。声を出すなと言わんばかりに、涼矢は和樹にキスをした。今度は、激しい、ディープキス。熱い舌をからめあい、じゅるりと音が出る。  涼矢は乳首をいじるのを止め、Tシャツの裾をめくった。服を脱げという合図だと解釈した和樹が、自分で脱ごうと手をかけると、涼矢は俺にやらせろと言わんばかりに、その手を押さえた。涼矢の「万歳して。」とささやく声に、和樹はおとなしく両手を上げ、涼矢に委ねた。涼矢は和樹の裾をたくしあげ、脱がせにかかる。  頭が抜け、あとは袖を抜くだけという段になって、涼矢が手を止めた。そして、和樹の背中を支えるように手を差し伸べ、和樹にそのまま横たわるように誘導した。肘のところに残ったTシャツに拘束されて、和樹の両腕は万歳のまま自由が利かない。 「こんな、半端なところで止めるなよ。動けねえ。」と和樹が言う。 「脱ぎたいなら、自分で脱げばいい。」涼矢はそう言うと、露わになった和樹の乳首を口に含み、舌先でねぶりはじめた。  確かに少し体をよじれば、簡単に脱ぐことはできるはずだった。それでも和樹は、そのまま拘束されるほうを選んだ様子で、何もしなかった。涼矢は和樹の選択に満足気に笑う。  涼矢は、片手で乳首を責め続けながら、もう一方の手を和樹のズボンの中に手を入れて、下着の上からまさぐった。 「あっ……や……。」和樹が喘ぎ始める。 「声、我慢しないと。」涼矢はそう言うが、自分の腕で口を押さえることもできなければ、涼矢のキスで塞いでもらえるわけでもない和樹だった。自分の意志だけで抑制しなければならない。そう思えば思うほど、ほんのわずかな吐息すら、大きく響いてしまっている気がした。そのことがますます全身を敏感にさせ、涼矢の愛撫に過剰に反応させられる。 「可愛いね。」と涼矢が言う。俺が可愛いわけねえだろ。そんなこと言うんじゃねえ。言い返してやりたいが、ちょっとでも口を開けば、それより先に喘ぎ声が溢れてしまいそうだ。「でも、いつまで我慢できるのかなあ。」涼矢の手が、下着の中にまで入ってきて、直接和樹のペニスに触れた。 「はぅっ」和樹の身体がビクンと震える。  和樹のペニスは既に充分に屹立して、その先端からは先走りが溢れ出ていた。涼矢はそれを全体に塗りつけるようにして、ペニス全体をこすりあげる。ぐちゅぐちゅといういやらしい音が聞こえてきた。 「もう、こんななっちゃって。」涼矢は甘く低い声で囁くように言った。 「やめ……言うな……。」和樹はぎゅっと目をつぶり、涼矢の視線を避けるように顔を横に向けた。 「本当に、心配。和樹の一人暮らし。」涼矢は和樹のズボンを下着ごと脱がせた。和樹はなされるがままだ。 「う、浮気なんか、しないからなっ……。」  涼矢はふふっと笑い、「それは心配してない。ていうか、いいよ、しても。」と言った。  和樹はその言葉に少しだけ我に返る。「なんだそれ。」 「和樹はモテるし……相手なんかすぐ見つかるだろうしね。」再び和樹のペニスをしごきながら、そんなことを言う涼矢。 「嫉妬とか、してくれないわけ?」 「しない。……女の子なら。」涼矢はペニスから離した指に、自分の唾液を垂らした。そして、それを先走りの液と混ぜるようにしながら、その指を和樹の感じやすい穴のほうへと持って行く。かと思うと、片手で和樹の足を広げさせ、間髪入れずに中指をそこに挿入した。第一関節までするりと入った。 「ぃやっ……!」和樹が激しく身をよじった。 「女の子は、こんなこと、してくれないでしょ?」ズブ、と指を深める。「和樹の一番可愛いところ、知ってるのは俺だけなら、いいよ。」その指をくちゅくちゅと和樹の中でこねくり回す。「でも、男は、いやかな……。」

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