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第77話 between the sheets ③

「何言って……あっ……んんっ……。」和樹は、懸命に喘ぎ声を噛み殺そうとしているが、それでも時折漏れ出てしまう。 「男だったら、浮気じゃなくて。」涼矢は穴から指を離さない範囲で届く限りに、和樹に顔を寄せる。「その時には、俺のこと、ちゃんと振ってから、そっち行って。」 「そんな、ことっ。」和樹は伏せていた顔を上げて、涼矢を見る。「俺だって、やだよ、他の……男なんか。」  涼矢は指を更に和樹の奥へと埋める。空いているほうの手で和樹のカリのあたりをきゅっと締めると、和樹が体をのけぞらせた。「涼っ……涼矢じゃなきゃ、やだ。」和樹は肘にひっかかっていたTシャツを急いで脱いで上体を起こすと、涼矢の肩に指を食い込ませるようにして抱きついたので、二人は向き合う座位の状態になった。「涼矢だけ、だからぁっ……。」 「そうだったらいいけど。」涼矢は穴の中の指をくいっと曲げた。和樹の体が電流が走ったようにビクンと反応した。「ねえ、ここ、もう柔らかいよ。何かした?」 「……さっき……風呂に入った時……。」 「自分で?」  和樹が恥ずかしそうにうなずいた。涼矢が指を増やすと、それもまたあっさりと飲みこまれていく。「んっ。」と和樹が抑えた喘ぎ声を上げた。 「簡単に入っちゃったよ。……ね、これ、さっきだけ?」  和樹は答えない。 「昨日もしたんじゃない?」 「……。」和樹は涼矢から目をそらして、小さくうなずいた。 「どうやって?」 「……どうって、そんなの……。」 「自分の指ここに挿れて、オナニーしたんだ?」  そんな質問を執拗に続ける涼矢を、和樹は恨みがましい目で見る。だが、そんな虚勢も、涼矢の指が少し蠢くだけで簡単に崩されてしまう。 「ぞくぞくするね。」涼矢は和樹の耳たぶを甘噛みする。「愛してるよ、和樹。」 「俺もっ……愛してるから……。あっ……やっ……は…」涼矢にしがみつくようにしながら、和樹は身体をピクピクと震わせる。 「ほら、三本目も入っちゃった。自分でする時とどっちがいい?」 「またっ……んなこと……聞くな……。」和樹は息を弾ませる。 「和樹のことなら何でも知りたい。」涼矢は和樹にキスをする。「俺、和樹も認めるストーカーだし。」 「馬鹿、こんな時にっ……んなことっ」 「そうだな。じゃあ、ここからどうしようか?」涼矢はこんな話をしている間も、和樹を攻め続けていた。和樹の腰は自然と浮いて、本人の自覚もないままに、涼矢の指を受け入れやすくなっている。「どうしてほしい?」 「そりゃ……決まってるだろ。」 「ちゃんと言えよ。わかんない。」 「おまえ、どうしてこういう時だけ……あっ、ああっ。」涼矢の指がぐいと曲げられ、和樹の前立腺を刺激した。 「このままのほうがいい?」 「やっ……あ……ああん。」身をよじる和樹を涼矢はがっしりとホールドしている。和樹は快感に悶えながらも、首を横に振った。 「指じゃいや?」と問うと、言葉で返事をすることはできず、コクンとうなずいた。涼矢はその耳元に囁く、「指じゃなくて、何が欲しい?」 「涼矢のっ」和樹は頬を紅潮させ、口の端にだらしなく唾液を光らせながら、言う。「涼矢の、欲しい……。」 「俺の、何が?」 「……そんなの、これに決まってるだろ。」和樹は涼矢のペニスを握る。「これが、欲しい。」

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