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第13話 Two for tea ②

 涼矢は和樹の顔を凝視した。何を言っているのかわからない、とでも言いたげに。 「抱けよ、俺のこと。」 「……だから、無理だよ。」涼矢は和樹から目をそらし、困惑した様子で前髪をかきあげた。 「ごめん、言い直す。抱いてくれ。な? おまえがそうしたいなら、俺はおまえに応えたい。」 涼矢は体の向きを変えずに、視線だけを和樹に投げた。和樹の真意を推しはかっているようだ。 「涼矢。何度も言わせるなよ、こんなこと。早く、こっち来て。」涼矢に手を伸ばす。 「和樹……。」涼矢は和樹のほうを向き直り、おそるおそる和樹のその手に触れた。「いいの? 本当にそれでいいの?」 「俺のこと信じろって言ったろ。ほら、早く、キスして。」言われるままに、涼矢は和樹にそっと口づけた。和樹はニヤリと笑った。「白雪姫じゃないんだからさ、もっとエロいやつ。」 「そんな風に煽るなよ。今、俺、何が起きてるかわかんなくなってて、いっぱいいっぱいなんだから。」涼矢はろくに目も合わせられない様子で、真っ赤な顔をしている。 「なあ。」和樹は涼矢の頭に手を置き、いいこいいこするようにそっと撫でた。「俺、涼矢が好きだよ。涼矢も俺のこと好きなんだろ? だったら俺たちは愛し合う恋人同士で、つまり、これはレイプでも興味本位でもない。」それからその頭を引き寄せて、涼矢にキスをした。「さっきの続き、してよ。もう、俺、怖くないからさ。」  涼矢は和樹の上に崩れ落ちた。そして、「どうなっても知らないよ。」と呟いて、もう一度和樹にキスをした。今度は、さっきよりも激しく。それから身体のあちこちにも口づけた。そのたびに和樹の息が荒くなっていった。和樹は涼矢の手を、自分の下半身に誘導した。「いきなりは無理。もう一度、ほぐしてくれる?」 「ん。」涼矢は改めてローションを使い、指先をそこにあてた。和樹の全身がピクリと反応する。そして、指を、更に奥へ。和樹の口から喘ぎがこぼれた。涼矢は左手で和樹のわき腹を抱いて、右手の指を出し入れする。「大丈夫? 痛くない?」 「痛く……ない。けど、なんか…変。」  本当はそれなりに痛みはあった。ただ、予想していたほどではない。我慢できる痛みだ。涼矢のためならなんてことない程度の。そして、痛みだけじゃない何かがそこにはあった。涼矢の指がゆっくりと往復するごとに、そして、奥に侵入してくるほどに、その「何か」は、「なんか変」では済まされない感覚となり、やがて痛みを凌駕した。

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