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第14話 Two for tea ③

 あれ、俺、なんつーか…感じてる…のかな。これでもバックはバージンなんだけど…そんな、最初っからそれって、俺、なんかやばくないか…?  和樹は「感じる」自分に戸惑いを覚えた。どんな激しい痛みでも、初めての恐怖でも、涼矢のために我慢すると覚悟して臨んだのに、その先にあったのは「得も言われぬ快感」だった。もしや自分はとんでもない淫乱だったのだろうかなどと思う。  その時、更なる快感が体を貫き、和樹は思わず「あっ」と大きく喘いだ。 「ここがいいの? 俺と同じだね。」涼矢の指がそこで少し止まり、それから、ノックするように刺激してきた。 「……やっ…涼、ちょっと……あ……」和樹は自分の腕に歯を立てた。初めての時に涼矢がしていたのと同じだ。そうでもしないと、正気を保てなくなりそうだった。涼矢の指は和樹の中をかきまぜるように刺激し、何度も往復した。それと同時に、もう一方の手や舌で、乳首や、脇や、耳や、体の細かなところも愛撫され、その度に痺れるような快感が頭からつま先まで通り抜けて行った。  和樹が涼矢にしたことを、そのままやり返されている。涼矢がしたような反応を、今度は和樹がしている。そうと気づくと、和樹は猛烈に恥ずかしくなった。涼矢が喘ぎ声を我慢する姿に欲情し、そんな涼矢をはしたなく乱れさせたいと思い、執拗に責めた。前立腺を刺激してキュッと締まる「そこ」に興奮した。あの嗜虐的な劣情を、今の涼矢は自分に対して抱いているのか。あの淫らな涼矢の表情を、今の自分は浮かべているのか。  その恥ずかしさはより一層快感を増長させた。自分のしたことと同じことを涼矢がする。それはつまり、涼矢がそれを良いと思ったからで。涼矢が得た快感を和樹に味わわせようと思っているからで。自分が感じれば感じるほど、涼矢の快感もそれに匹敵していたことの証で。それならば、自分がこうして痴態を晒せば晒すほど、自分が涼矢に与えられる快感も大きくなるはずで。  もちろん、そこまで理屈っぽく考える余裕はなかった和樹だが、そういった感情がないまぜに、大きな快感のかたまりとなって、和樹をつきあげた。 「涼矢ぁ……」和樹は、自分がこんな発情した声を出せることも知らなかった。涼矢は指を抜き差ししながら、もう片方の手で和樹のペニスを弄りはじめた。「すごい、和樹。硬くなってる。」 「恥ずかし…から…もう……あっ……や……」和樹は身をよじらせて喘いだ。  涼矢は指を動かし続けながら和樹の耳元で「挿れてもいい?」と言った。  和樹は「ん……いいよ…。」とかすれた声で答えた。  涼矢は、指を抜いて、替わりに自分のものを挿入していった。二人とも息が荒くなる。「和樹の中……すごく熱い……。平気? 痛くない?」  さすがに指の時よりは強い痛みを覚えるが、その痛みすらも快感の一部のように感じられる。「痛い……けど、そのまま……続けて。やめないで。」  自分の中に少しずつ押し込まれてくるもの。内臓を内側から押し上げられる感覚。こんなの、知らない。こんなの、俺の知ってるセックスとは違う。 「ごめん、和樹……もう無理。イきそう。」  そんな声が聞こえてきて、いつの間にか強くつぶっていた目を開けると、涼矢が熱っぽい目で自分を見ていた。こんな目でずっと見られていたんだ。涼矢に突かれて、喘ぐ顔を。自分でも知らない顔を。涼矢の顔が不意に天井を向いた。和樹からは涼矢の喉仏が激しく上下するのが見えた。自分の中で絶頂を迎えようとする涼矢に、震えるほど欲情した。涼矢がその和樹のペニスを握り刺激してきて、和樹のほうが先にフィニッシュした。白濁した液は和樹自身の腹の上に放たれた。それを見て、涼矢もすぐに迸らせた。

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