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第17話 Two for tea ⑥

 二度目の挿入は後ろからだった。「今度は全部、挿れたいから。少し、力、抜いて。」その言葉に、さっきは「涼矢の全部」ではなかったことを知る和樹だった。やべえ、涼矢のチンコは俺より「ちょっと」じゃなくて「だいぶ」デカイのかもしれない。いや、単に俺がアナルセックスに慣れていないからデカく感じるだけであって……。そんなことを考えているうちに涼矢が奥に入ってくる。さっきよりも深く。 「ん……あっ……はぁ……」和樹の喘ぎが激しさを増す。 「大丈夫? 痛くない?」 「大丈夫。」涼矢が突きあげてくる。そうか。全部ね。そりゃ全部、欲しいよ。涼矢が、全部欲しい。「全部、来て。涼矢。」そんな言葉を口走っているのは本当に自分なのか。  涼矢の動きが激しくなった。うわごとのように和樹は涼矢の名前を繰り返した。涼矢は息を荒くして何度も和樹を貫いた。ねぇ、これ、胃とかのほうまで届いてんじゃねぇの。そう思ってしまうほど、身体の奥まで涼矢を感じた。 「和樹、イキそう。」 「ん。」和樹は自分で自分のものをしごいた。 「あ、イクッ」涼矢が射精すると、間もなく和樹もフィニッシュした。和樹は後ろを振り返り、背後の涼矢とキスをした。  和樹はベッドの上で座り直した。シーツがひどい有様で、思わず「うわ、どろどろ。」と感想を漏らした。 「シャワー使えよ。」 「……俺もだけど、シーツが。これ、バレバレだろ。」 「洗濯は自分でやってるから問題ない。」和樹は、一人暮らしをするにあたり、一通りの家事はできるつもりでいたが、来客へのお茶出し同様、洗濯にしてもほぼ母親に任せきりだったことに気づく。そんな和樹の気持ちに気がついたのか、「俺んち、基本的に家族バラバラの生活だから、自分のことは自分でやるシステムなんだよ。」と補足した。それから、いきなり和樹の手を握ったかと思うと、「こっちだ。」と引っ張った。連れて行かれた先は浴室だった。浴室にたどりつくまでに全裸で通り抜けたのはリビングだったか。涼矢の部屋と同様、シンプルなインテリア。難解そうな法曹関係の本だけが例外的にそこかしこに積まれているのが見えた。しかし、痛い上にぬるぬるする下半身に気を取られ、初めて見るリビングをじっくり眺める余裕はない。  脱衣所までたどり着くと、手際良くタオルを渡し、シャワーの温度設定の仕方を説明する涼矢。「それと…ちゃんとかきだしておけよ。一応できる分はやったつもりだけど……。後で腹痛くなるかもしれないから。」和樹のほうは見ずにそんな説明も付け加える。和樹はそんな知識はどこで仕入れたんだと聞きたかったが、なんとなく地雷のような気がして、聞かないでおいた。  涼矢の部屋に戻ると、既にシーツは取り替えられていた。「すげ、ホテルのベッドメイキングみたい。」 「慣れてるから。」 「へえ、几帳面なんだな。」 「おまえは雑すぎる。……俺も、シャワーして来る。」  部屋を出て行こうとする涼矢に和樹は言った。「俺はもう服着ていいの?」着替えを持たずに浴室に行ったので、和樹はタオルを腰に巻いただけの姿だった。 「裸で正座して待ってろ。」呆れた声で言い捨てて、涼矢は出て行った。  おまえが本当に望むならそのぐらいしてやるけどね、と和樹は思ったが、実際はおとなしく服を着た。

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