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第26話 Lovers ③
「涼矢、やっぱ俺よりでけえな。」
「180超えた。っつっても、1センチな。181。」
「え、そんなあんの。俺、178。」
「入学した頃は、おまえのほうが高かった。」
「そうだっけ。」
「うん。背の順でもそうだったし、和樹の健康診断カード盗み見したから知ってる。」
「うわあ……。」
「気持ち悪いよな、俺。」
「そうだな。」和樹は涼矢の手を握り、歩きだした。涼矢も素直についていく。「俺ら、気持ち悪い。約180センチのゴリゴリ体育会系男二人で、何やってんのって感じ。」
「うん。」
「そんなんで、涼矢が可愛いとか言ってる俺、マジで気持ち悪い。」
「……うん。」
階段を上がり、涼矢の部屋に入る。「でも、いいんじゃない? 俺、いま、超幸せだし?」和樹は涼矢にキスをする。「おまえは?」
涼矢からもキスを返す。「同じく。」
「ちゃんと言ってくんない?」
「幸せだってば。」涼矢は和樹に体重を預けるようにして、ベッドに倒れ込む。「和樹。大好き。」
「ん。俺も。」
涼矢はいったん和樹とベッドの上から下り、服を脱いだ。「なんだよ、やる気満々じゃない?」と和樹がからかった。
「そうだよ。だから、そっちも脱げ。」言われるままに和樹もパンツ一枚になる。「それも脱いで。」
「おまえ履いてるのに?」和樹の言う通り、涼矢は履いたままだ。
「そう。」涼矢が強めの口調で言うのに気押されて、和樹一人が一糸まとわぬ姿となった。「脚、開いて。」涼矢は和樹に触れずに言う。
「え?」
「こっち向いて、脚、開いて。」
「いや、それ、恥ずかしいだろ。」
「恥ずかしがらせてんだよ。」
「何、今日の涼矢は、そういうモードなの?」
「そう。」
「あっそ。」和樹は挑発するように、涼矢の前でМ字開脚ポーズをとった。「ほら、早く、どうにかしてよ。尺ってくれんの?」
「和樹が自分でするんだよ。」涼矢はベッドの前まで椅子を移動してくると、そこに座った。「俺は見てる。」
挑発したつもりが出鼻をくじかれる。「おまえの目の前でマスかけっての? それはマジで勘弁してよ。」涼矢は無言で和樹を見ているだけだ。その表情からは何の感情も読み取れないが、その無言の圧力は和樹には耐えがたいものだった。「わかった、わかったよ。やりゃいいのね?」
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