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第29話 Lovers ⑥
涼矢はシャワーを出し、手先で湯温を確かめるとシャワーヘッドを和樹に渡した。
「いいよ、涼矢が先に使えば。」
「おまえのほうが必要だろ?」涼矢は湯桶でのかけ湯を済ませると、とっとと浴槽に身を沈めた。特別広いわけでもない浴室、洗い場に長身の二人がいるのはいかにも狭い。
「確かに。」和樹は素直にシャワーを使い、下半身のぬるつきを洗い流す。
その後、浴槽に入ろうにも、涼矢一人でかなりいっぱいだ。一瞬ためらっていると、涼矢は伸ばした自分の足の、太ももあたりを指し示した。ここに座れということか。和樹は涼矢に背後から抱っこされるような姿勢になって湯につかった。その途端、涼矢が和樹を抱きしめる。
「和樹。」涼矢は、和樹の耳の裏やうなじに舌を這わしてくる。和樹はそれだけで体がビクンと反応してしまう。「なんか……敏感になってる?」片手は乳首をつまみ、もう片方の手が股間に伸びてくる。
「あっ。」和樹が声を上げた。涼矢の股間も硬くなり、自分のそれとあたる。
「こっち向いて。」涼矢がそっと肩を抱く。それに促されるように、和樹は涼矢と向き合う姿勢になった。涼矢がさっきより激しく、首筋にキスをしたり、乳首をいじったり、和樹のそこを握ったり、穴に指を差し入れたりした。和樹の喘ぎ声が浴室に響き、そのたびに、涼矢のものも硬くなっていく。「涼矢の……あたってる。」
「うん。だって、ほら。」涼矢の視線の先を見ると、鏡があった。そこには、涼矢にしがみついて、口を半開きにしている自分の姿が映っている。「和樹、すげえ、やらしい。」鏡は湯気で少し曇っていて、細かい表情までは見えないが、きっと淫らな顔をしているに違いない。
そう言っている間も、涼矢の指が、ペニスが、和樹の敏感なところを刺激し続ける。しかし、それすらももうもどかしい。和樹は自ら腰を振って、もっと直接的な刺激を求めた。「もう、やだ、俺……なんでこんな…。」和樹は自分がどんどん変わって行く不安を口にしながらも、涼矢を求めて動くのを止められないでいた。
涼矢はそのまま和樹に挿入しようと試みたが、狭い浴槽では限界があった。涼矢は和樹を洗い場に立たせた。「壁のほう向いて。」立ちバックでの挿入を身構えた和樹だったが、涼矢は浴室の床にひざまづいて、和樹の尻の間に顔を埋め、舌先で和樹のアナルを攻めはじめた。
「あっ、あんっ、やっ……。」和樹は壁に手をついて、快感に身を委ねた。涼矢の舌が、穴の入り口を這う。時折中のほうにまで侵入しようとする。それは指とはまた違う、新しい快感だった。和樹はもう二本の脚で立つことすら覚束ないほど、感じていた。「もう、無理……。早く。」
涼矢は立ち上がり、和樹の両肩に手を置いた。「早く、何?」
「もう大丈夫だから、すぐ。」
「すぐ?」
「い、挿れて……。」
涼矢は和樹の穴にペニスをあてがい、一気に挿入した。和樹の喘ぎが一層激しくなる。涼矢は無言で、ただひたすらに和樹を何度も貫いた。和樹の絶叫に近い喘ぎが浴室に響いた。「あっ、あっ、やっ……あん、涼、だめ、も、出る、イっちゃうっ!!」
「イケよ。」涼矢がいつになく男らしい低音で言い放つ。和樹はその声にゾクリとしたかと思うと、射精していた。
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