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第35話 愛しのきみ ④
涼矢がようやく口を離した。その口元から、和樹の先端まで、唾液が糸を引く。涼矢が身体を起こすと、和樹は反射的に足を開こうとしたが、涼矢はその足を押さえた。「そのままでいいから。」そして、和樹にまたがった。
「え……?」
「ちょっと、のっからせて。」言いながら、涼矢は自分で自分のアナルをほぐしはじめた。
「そっち?」
「うん。」涼矢の息が荒くなってくる。やがて準備ができたのか、涼矢は和樹のペニスを、自分のそこへと当てがった。「んっ。」腰を落とし、自分からゆっくりと挿入させていく涼矢。「……あっ…ふっ……。」和樹はそのエロティックな姿態から目が離せない。「あっ……。」やがて涼矢のそこは、和樹のペニスを完全に飲みこんだ。
「動いたほうがいい?」和樹が聞く。
「…ううん、いい。自分で……。」言葉通り、涼矢は自分で腰を上下させはじめた。「あっ……ハッ…んんっ。」
本当に「ただ横になっているだけ」の和樹だった。涼矢にいいように扱われ、久々の「挿入する側」のはずなのに、どうにも「受け容れ側」の気分だ。自分のものを気持ちよさそうに出し入れする涼矢の中は、相変わらずきついが同時に柔らかく熱く、和樹のそれをとらえて離さない。和樹はやられてばかりではいられないとばかりに、反撃に出た。
「あっ…あっ…」下から突き上げると、涼矢の喘ぎの間隔が短くなっていった。「あ、いい、和樹っ……。すげ、当たって……。」和樹に貫かれながら、自分でも腰を振る。和樹は涼矢の中でみちみちと締めつけられる感覚を、久々に思い出した気がした。それほど前のことじゃない、ほんの数日前の出来事だが、随分久しぶりに感じた。頬を紅潮させた涼矢が、和樹を見つめながら腰を揺らす。
「ね、和樹、俺の中でイッて。奥に出して。」涼矢は照れるでもなく、そんな言葉を和樹に浴びせる。
「涼矢は? イキそう?」
涼矢は息を荒げながらうなずく。熱っぽく潤んだ目が、早くイキたいと和樹に訴えていた。和樹は涼矢の腰を抱え、グイッと力を込めた。涼矢の上半身がビクンと反り返った。その瞬間の涼矢の快感を、そのまま自分の身に受けた気がする和樹だった。
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