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第40話「愛してる。」③
和樹はとっさに顔をそむけ、目をつぶった。涼矢はきっとそんな自分を見て、反応を楽しんでいるのだろう。そう思うと恥ずかしさとともにゾクゾクする感覚もこみあげてくる。が、涼矢の指は、それ以上侵入してこない。それどころか、あっさりと引きぬかれた。
涼矢は体を起こして、ベッドの枕もとに放置してあったローションを手にした。それから、「ゴム、持ってきてるんだっけ。」と聞いてきた。
「ああ、うん。俺のバッグ取って。」和樹が言うと、涼矢は部屋の片隅のバッグをベッドまで持ってきた。バッグには、宏樹にもらった状態のままで、箱ごと入っている。そこからひとつ取り出した。「つけ方、知ってる?」
「なんとなく。」和樹は涼矢の股間を確かめる。こんなことをしている間に落ち着いてしまったのか、装着するには至らない状態だ。和樹はひとまずゴムを置いて、涼矢の股間に顔をうずめた。両手で涼矢の根元を支えるように握り、口に含む。顔ごと前後に動かして、口全体でこすり、喉の奥まで使い、しごく。同時に舌先で感じやすいところを舐める。和樹の知りうる技巧を尽くすと、涼矢のそれはあっという間に屹立した。
すかさず和樹は慣れた手つきでコンドームを開封し、涼矢のそれに装着する。「はいよ。今度から自分でつけろよな。」
「なんか……職人技。」火照った顔で涼矢が言う。
「余計なこと言ってないで、さっさと挿れろ。」
「もうちょっと情緒ってないの。」
「情緒ねぇ……。」和樹は涼矢の首に手を回し、精いっぱい色っぽいつもりの表情を作る。「我慢できない。早く涼矢の挿れて? 俺の中、いっぱいにして?」
「思い切り嘘っぽいのに。」涼矢は和樹にキスをする。「クラッとしちゃう自分がね。」ローションを使い、和樹をほぐす。
「嘘じゃないよ。」和樹の声がかすれてくる。「涼矢のせいだからな。おまえが俺、こんなにしやがって。」涼矢の背中に爪を立てる勢いで、抱きついた。「愛してるよ、涼矢。」
二人の身体が、ベッドに沈んで行った。
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