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第46話 未来②

 和樹はたまらず笑い出した。「今からそこまで想像しちゃうんだ? ホンット、涼矢って真面目なんだかエロいんだか。」 「うっせえな。俺は実績に基づいた、堅実なシミュレーションしかしてない。」 「堅実なシミュレーションの結果、今から4年後も、一緒にいたら勉強も手につかないぐらい、いちゃいちゃしまくってるのか、俺たち。」和樹は涼矢の頬を撫でた。「いいな、そうだったら。」  涼矢は赤面したまま、和樹をじっと見つめた。 「そうなりたい。」和樹は涼矢にキスをした。涼矢が軽く口を開け、舌を出してきたから、和樹も同じように舌を出し、舌先だけをからめた。そんなことをしながら、和樹が涼矢の耳の裏をくすぐるように触るのに反応して、涼矢がビクリと体を震わせた。「ああ、確かに。」和樹の舌が涼矢のうなじに移動した。「おまえが一緒にいたら他のこと何もできねえな。」涼矢を見つめてニヤッとする。「昨夜みたいにさ。」  涼矢は一層顔を赤くし、目もとろんとして、欲情を伴ってきたのがわかる。「今日はちゃんと早めに帰らせるし。何もしないから。」 「おまえ、顔と言ってることが違うんだけど。」 「自分に言い聞かせてるんだよ。」 「昨日だって、清らかな一日のはずだったんだもんな。」和樹がまたキスをする。 「だから、だめだって。もう今日はそういうことしない。」 「おまえだって今。」 「今決めた。」 「……わかったよ。そういや俺、今思い出したけど、腰と股関節が超痛いんだよ。ちょうどいいや。」 「ああ、それはそれは。ケツに引き続き大変だな。」 「ひとごとみたいに言うなや。そもそも涼矢があんな」 「やめろ、恥ずかしい。」 「状況としては俺のほうが恥ずかしいだろ。」 「だってそれは和樹が」 「俺が何だよ。」 「和樹が……」涼矢は和樹から視線を外した。「か、可愛いから。」自分の言葉に照れまくる涼矢。 「おまえの可愛いの基準がわかんねえよ、俺、既にうっすらヒゲ伸びてきてんスけど。」 「もうそのヒゲすら可愛い。」 「安定の変態だな。にしても、涼矢はヒゲ生えないんだねえ。」和樹は涼矢の顎をすりすりと撫でた。「いいなあ、ツルツル素肌。」 「もういいだろ、触んなよ。」 「キスやその先はともかく、顔を触るのすらだめなの?」 「神経は全部つながってんだよ、どこ触られても」涼矢はそこまで言って、黙る。 「どこ触られても感じる? うっわ涼矢エッローい。」 「そういうこと言うなって。」 「言葉もだめなんだ?」和樹は涼矢の耳に息を吹きかけた。「わ、本当だ。これだけで耳まで赤くなって。」 「俺で遊ぶな。」 「可愛いってのは、今の涼矢みたいなことを言うんだよ。」 「もういい。」涼矢は立ち上がり、キッチンに向かった。

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