ベッドに並んで腰掛けさせ、吉沢さんはぎゅっと僕を抱き締めたあと、キスを再開した。 唇に軽いキスをほどこしたあと、それは頬を経由して耳へむかう。 「君の肌は白くてすべすべだね。髭とか生えないの？」 首筋に鼻を埋めながら訊かれて、少し迷ってから頷く。 今は生えない。 「ふーん、だからこんな象牙のような肌なんだね」 甘い声で囁きながら、吉沢さんの唇が耳朶を食み、首筋をなぞっていく。 怖くはない。くすぐったい。ただそれだけ。 だけど唇に戻ってきた吉沢さんの舌はさっきよりも大胆に動き回り、息も少し荒くなっている。 僕をベッドに押し倒したその手がTシャツの裾から入ってきて、上半身を這いまわり始めた。 「ああ、なんていい手触りなんだ。もっと君が見たい」 そう言うと、僕のTシャツを脱がせ、長い溜息をついた。 「ああ・・・やっぱり君は美しいな・・・こんな綺麗なものに触れられるなんて・・・僕は幸せ者だ・・・」 吉沢さんが声を上擦らせて興奮を滲ませるほど、僕はこの後のことを考えて憂鬱になる。 僕はそっと目を閉じた。集中したら、もしかして、もしかするかも。 吉沢さんが服を脱ぐ気配がした後、両手が僕の体の輪郭をなぞり、まるで全ての筋肉と骨格を確認するように丹念に触れていく。 やがてボトムに手が掛かり下も脱がされた。 やはり少し羞恥心が湧くが、今更だと思いなおす。 「本当に君は綺麗だ・・・美の化身だよ」 こちらが恥ずかしくなるような大げさな誉め言葉の後、温かい人の肌が覆いかぶさってきた。眉間にしわが寄らないように気を付けないと。 首筋に吸い付かれ、嗅覚が吉沢さんの匂いを捉える。 「風見君、風見君・・・」 僕の名前を呼びながら舌で首や鎖骨をチロチロと舐め、絶え間なく愛撫を続ける吉沢さんのものが早くも反応を始めている。 僕の方は予想通り変化の兆しは無い。 その時、僕のわき腹を撫で上げていた吉沢さんの右手の指先があるものに触れ、ピタリと動きを止めた。