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第149話
そして今になって、征治さんは勝君から真実を聞かされて、今度はきっと自分を責めたんだ。当時、僕を信じられなかったことを。
僕に謝罪に来た時だって言っていたじゃないか。恋人として護ってやらなければいけなかったのにごめんって。
それが出来なかった自分のせいで僕が口をきけなくなったと責任を感じているんだ。
「僕を壊した張本人」って、そういう意味なんじゃ・・・。
耳の奥に征治さんの掠れた声が蘇る。
『俺には・・・君を愛する資格も、君に愛される資格も無いんだ』
僕はいつの間にか自分だけが被害者のような気持ちになっていなかったか?
本当は征治さんの心もボロボロだったのではないのか?
僕の周りには僕が苦しい時に手を差し伸べてくれる優しい人達がいて、僕はただそれに甘えてばかりいたんじゃないだろうか。
征治さんは、いつだって松平の跡取りとして泰然としていなければならず、誰にも苦しさをを吐露することが出来なかったんじゃ・・・
僕ももっと征治さんの心の声を聞いてあげなければいけなかったんだ。
僕の弱さのせいだ。僕が弱いから・・・最初からきっと伝わりっこない、駄目だと諦めたから、僕は声を失くすということで独り殻に閉じこもった。
そのせいで、征治さんを苦しめ続けた。
弱くて一人でいるのが寂しいからという甘えが、吉沢さんのことも傷つけた。
僕は・・・このままじゃいけない。
僕は・・・どうしたらいい?
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