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第230話
パーティーの夜を境に、芹澤の溺愛ぶりが加速した。
部屋にやって来る頻度も増え、すぐ膝の上に抱きかかえ、顔じゅうにキスをする。相変わらず舐めまわすのも好きだが、一人で留守番するのは退屈だろうと、リビングに大型のテレビを置き、外に出すわけでもないのに次々と服を買ってくる。
陽向は困惑したが、セックスを含め何かを無理強いされるわけでもないし、誰かに必要とされるというのは、ひび割れだらけだった心が少し修復されていくようにも感じた。
ある日、リビングでテレビを見ていると、背後で電子ロックを解除する音が聞こえた。
芹澤が来たのだと思って振り返ると、ボディガードの男が立っていた。普段この男がここへやって来ることは無い。後ろから続いて芹澤が入って来るのだと思って見ていたが、男はガチャリとドアを閉めた。
え?なんだろう?何かことづてでもあるのか?
あのロックの解除番号を知っているのは芹澤と家政婦だけと聞いた気がする。
改めてスキンヘッドの男を見て、マズいと思った。
あの目は、雄が獲物を狙う目だ。男娼時代散々見てきたそれに、危険を察知して肌がざわわわと粟立つ。
「よう、ブラン」
男は下卑た笑みを浮かべながら、にじり寄って来る。
「ちょっと、俺と遊ぼうぜ」
首を横に振って後じさる。足の速さには自信があったが、いかんせん部屋の中で相手は小山のように大きな男だ。じきに捕まってしまった。
暴れる陽向を軽々と肩に担ぎ上げ、ベッドの上に落とすと、男は大きな体でのしかかって来た。
「おい、暴れるなよ。お前、売り専ボーイだったんだろ?じゃあ、慣れてるじゃないか。芹澤さんの相手をする合間にちょっと俺と遊んでくれりゃいいんだ。芹澤さん、人使いが荒くて女を買いに行く暇もねえから、溜まってんだよ」
そこで男はニヤリと笑うと、舌なめずりをして続けた。
「今まで男とやる奴の気が知れねえと思ってたが、お前はちょっとそそるわ」
勝手なことを言いながら両膝で腕を踏みつけ固定し、シャツのボタンを外していく。
それが終わると、ぐるんと陽向の体をうつ伏せに返し、腕で背中を押さえつけながらハーフパンツとボクサーブリーフをはぎ取り、シャツの袖も抜いてしまった。
陽向は必死で手足をバタつかせ抵抗するも、体格が違い過ぎてまるで歯が立たない。焦っている間に男はカチャカチャとベルトを外し自分の前をくつろげた。
また表に返され、見下ろされる。
「おいおい、まるで女の子みたいな肌じゃねえか。これで胸があれば言うことなしだが、ここの色は女でもなかなかこんな綺麗なのはねえな。やべえ、もうカチカチだわ」
自分の一物を陽向の閉じた唇に近付けた。
「いっぺん、抜いてもらおうかな。プロのテクを・・・いや、噛まれたら、ことだな」
考え直した男は、それを陽向の胸の印に擦り付けた。
「なあ、男でもここ開発されると、よがるようになるってマジか?ふ、なんだこれ、お前の肌やばいな。おまけにその首輪・・・手錠と足枷もつけてやりたくなるぜ」
男は陽向の胸にものを擦り付け、そのまま夢中になって腰を振り始めた。
どうしよう、これで一旦出したとしても、それで終わるとは思えない。なんとか回避できないものか。何か、よくないことが起きそうな胸騒ぎがする。
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