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第244話

「征治さんに抱きしめられるのが好き。おでこやほっぺにキスをされるのも好き。それは前からそうで、でもそれは、それこそ中学生の頃にされて好きだったのに近い感覚だったんだけど・・・ 最近はもっと強い衝動がある。生まれてはじめて、自分からキスがしたいと思ったし、昨日の夜は・・・ディープキスをされて、気持ちよくて脳が痺れたみたいになって・・・もっとしてほしい、やめないでって・・・そんな風になったのも初めてだった。 それに、征治さんが僕を欲しがってくれたのも嬉しかった。だから、僕がその・・・えっと・・・射精できなくても、僕の脳はちゃんと満足できると思う。 僕が辛かったのは・・・望まない相手にされたことだから嫌だったんだ。 だって、そうでしょう?異性愛者の風俗嬢だって、お客さんとするのと恋人とするのと、同じように感じるわけないよね? 僕にとっては、ゲイかストレートかなんてことは何の意味も無い。僕は征治さんしか好きにならないし、征治さんが好きっていうそれだけに意味があるから」 なんとか言いたかったことを言葉にして視線を上げると、征治さんが珍しく頬を少し赤くして固まっていた。 そして、はあーっと長い息を吐いて手で胸を押さえた。 「なんか、凄いのくらっちゃった」 それから僕の頭を腕に抱き込んで、つむじにキスをしながら呟いた。 「あー、よかった。昨日、少しも怖くなかった?嫌な事思い出さなかった?」 その恰好のまま頷くと 「俺が男性の経験が無いから無理なんじゃないかって思ったんなら、無用な心配だよ。俺はここのところもっと強い衝動を抑えるのに必死だったんだから。 ついでに告白しちゃうと、中学生の頃から陽向のことを思い浮かべながら散々やってた」 ・・・・・・。 「へ?中学生!?」 「筋金入りだろ?」 その言葉に噴き出すと、腕を外して頭を掻きながら、少しきまり悪そうな顔をしている征治さんと目が合い、また笑いが込み上げてきた。 「そんなに笑わなくても・・・むしろ、ずっとよく我慢してきたねって褒めてほしいよ」 その言い方がまた可笑しくて、僕は笑いながら征治さんの首に腕を回して抱きついた。

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