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うちの子ワンライ

お題:オメガバース うちの子:junkie 李央(Ω) 六つに分かれる性別の中で、オメガに属する部類にはヒートと呼ばれる発情期が訪れる。 このヒート中に中出しをされるとほぼ100パーセントの確率で妊娠してしまうと言われている。 それ故、オメガは抑制剤を服用し、ヒート期間はなるべく人との接触を避けるのが一般的だが、李央は違った───。 カランカラン。 木彫調のドアを押し開けて、李央は真っ直ぐカウンターへ歩いていき腰を下ろした。 「はあ、はあ、ッ・・」 ごくりと唾液を呑み込んだ李央は上気した顔で息を荒くしている。クーラーの効いた店内で、一人じわりと汗を掻いていた。 「李央、お前」 他の客と話していたこの店のオーナーの臣は、腕で鼻を覆って李央の目の前に立った。 李央から漂う甘ったる香りに、アルファの臣は直感する。 「抑制剤はどうした」 「はは、そんなの必要ないね」 熱い吐息を漏らす李央は完全に発情していた。 ヒート中だと言うのに抑制剤も持たずに、アルファの元へ平気で訪れる。 店内にいる客達の李央を見る目が途端にぎらつきだす。 「ヒート中のセックスがどれだけ気持ちいいか知ってる?お前らアルファにはわからないだろうけど」 挑発するように言い放った李央は着ているスーツのジャケットを脱ぎ、ワイシャツのボタンを数個開けた。 「もうヤバイ・・アルファの匂いだけでイきそう」 自分の股間を押さえた李央は身震いをして腰をくねらせる。 「ねえ君、オメガだよね?」 突然店内にいた客の内数名が、李央を取り囲むように立ち、その中の人が李央の背後から覆い被さって耳元で囁いていた。 「んっ、そうだよ」 この客もアルファなんだろう。 李央はその男の顔に腕を回すと引き寄せるようにして唇を合わせた。 「はっ、ヒート中にのこのこ出てくるなんて、なに?犯されたいの?」 「そう、わかってるじゃん。みんなに、輪姦(まわ)されたい」 男の胸ぐらを掴んで更に引き寄せた李央は口角を上げて耳元で呟いた。 李央の挑発と匂いに当てられた男は、李央を椅子から立たせると乱暴にカウンターへ上半身を押さえつけた。 「おい」 「オーナーもアルファならわかるだろ。もう我慢できない」 店の中では止めろ。 そう言おうとした臣だったが、自分も李央の匂いに頭がクラクラして正常な判断もままならなくなっていたのは確かだった。 男は李央のスラックスに手を掛けると勢いよくずり下げ尻を露わにした。 尻朶を鷲掴んでアナルを露わにすれば、躊躇なく舐め始めた。 「アアアッ!」 直接な刺激に李央が大きく喘ぐ。 濡れて物欲しそうに口を開くアナルに舌を出し入れされ、李央はあっという間に射精してしまった。 男達は李央を起き上がらせるとソファーの方へ移動して、群がるように李央の体を貪りだした。 「ナマで挿れて欲しいんだよな?」 「んっ、そうっ、アルファのペニスが欲しい。早く挿れろって」 「ッ、オメガのくせに命令してんじゃねえ!」 「アアッ!はあっ、気持ちいいッ」 そのオメガに欲情して馬鹿みたいに腰振ってるのがアルファだろ。 ガツガツと腰を打ち付けられながら李央はあざ笑う。 もっともっとと強請り、中に叩きつけられる精液に李央の口角が上がっていた。 数時間がたち、ソファーの上で力なく横たわる汚れた李央を見下すように臣が立っている。 「臣はいいの?」 「抑制剤を飲んだ」 「なんだ、つまんないの」 「お前妊娠するぞ」 「はは、しないしない」 のそりと起き上がった李央は床に脱ぎ捨てられたスラックスを手に取ると、ポケットから何かを取り出した。 「抑制剤は飲まないでピルは飲むのか」 「妊娠なんかしたくないし、それにこの薬、そこらのピルとは質が違うし」 一粒取り出すと、伸ばした舌の上に乗せてゴクリと飲み込んだ。 「そんなもの、どこから手に入れるんだ」 「内緒」 呆れながらも臣は李央にタオルを手渡す。 李央は汚れた体を拭くと、スーツを身に着けた。 「こんなことばかり続けてるといつか痛い目に遭うぞ」 「大丈夫だって。それに愉しんでやってるし。今度は臣に中出しされたいなー」 「ふざけるな」 「本気なのに。ま、いいや。またね、臣」 臣を振り返りもせず手を振った李央は店を後にした。 閉まるドアを見送り溜息を漏らした臣は、まだ微かに残る李央の香りに鼻を掻いた。 [end]

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