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ワンライ⑨

お題:マグカップ、嫉妬、「そういうと思ってた」 CP【仁×碧羽】 面倒な仕事が立て込み、禁欲生活を余儀なくされていた碧羽の機嫌はすこぶる悪かった。 「誰が誰のなんだって?もういっぺん言ってみろ」 「ガハッ、す、すみません…」 「聞こえねぇよ、このクズがっ!」 綺麗に磨き上げられた靴がガタイのいい男の鳩尾に鈍い音と共にめり込むと、男は腹を抱えて倒れ込んだ。 自分の足元に蹲る男を鬱陶しそうに見下した碧羽は男の肩を蹴り飛ばし舌打ちをしてその場を後にようと背を向ければ、黙って見物していた内の一人が駆け寄ろうとしたがそれを静止し、碧羽はその場を去った。 「俺の予定が30分も遅れた」 裏道から大通りに出た碧羽はタクシーを捕まえ、あるところへ向かった。 タクシーが夜の街を走り10分。 高級マンションのエントランスに降りると、手慣れた様子で建物の中へ入っていった。 暗証番号で開くドアを通りエレベーターに乗り込む頃には、碧羽の表情は穏やかになっていた。 静かに浮上する箱が階数に到着し、碧羽はある部屋のドアの前で立ち止まり、ここもまた暗証番号で解錠すると静かにそのドアを閉めた。 そっと靴を脱ぎリビングのドアをあける。 広いリビングには誰も居らず、碧羽は溜息をついた。 「おいおい、まさかのニヤミス?今日はオフだって言ってたのに」 リビングを突っ切り寝室を覗くが、目当てが居ない。 どうしたものかともう一度リビングに戻ると、ソファーの前にあるローテーブルにマグカップが二つ並んでるのが目に入った。 その片方には紅い口紅が付いている。 「女かよ」 そのマグカップを手に取り睨みつけると、そう言えば鼻の奥がムズムズするような香水の匂いに碧羽の眉間に皺が寄る。 「随分遅かったじゃねえか」 ふとリビングのドアが開き、可笑しそうな声のする方を向けば、仁が腰にバスタオルを巻き濡れた髪を拭いていた。 「随分お楽しみだったようで。あと30分早かったら3Pが出来たのかね」 碧羽が手に持つ口紅の付いたマグカップを見た仁は鼻で笑いソファーに座ると煙草に火をつけた。 「嫉妬か?」 ニヤリと笑う仁は煙を吐いて脚を組んだ。 「嫉妬?誰が。益々燃えるね」 「はは、そう言うと思ってたぜ」 マグカップをテーブルに戻した碧羽は仁の上に跨がり向き合った。 「ずっとしてなくて溜まってるんだ」 「ふぅん」 「さっきまでヤってた女なんかより悦くしてやるから」 「悦くなって自我が外れるのはお前だろ」 「どうだかね」 仁の股間に尻を擦り付け腰をくねらせれば、すぐに仁の指が碧羽の着ているスーツの裾をめくって薄いワイシャツ越しの腰に触れ、ぞわりと鳥肌が立った。 「はあっ、」 背筋を這い上がってくる快感に顔を仰げば首筋に仁の唇が落ちる。 チクリと吸いつかれる快感に、碧羽は自慰をするように勃起した股間を仁の腹に擦り付けた。 End

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