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11月11日
「ねぇ臣、見て」
臣の自宅のソファーに横たわる李央はスマホを持つ手を伸ばし臣を呼んだ。
「なんだ」
キッチンで洗い物をしていた臣は手を拭きながら近づきスマホを覗き込むと、李央は画面を指差した。
「ポッキーの日…ポッキーゲーム…」
「11月11日はポッキーの日なんだって」
スクロールする画面にはポッキーの両端を咥えている男女や男同士。ポッキーを咥え、画面の向こうの相手を誘うような表情。
そんな動画やらイラストやらがずらりと並んでいた。
「ポッキー咥えただけでエロい顔してるとか、いいね」
画面を見ながら含み笑いを浮かべる李央の表情に内心溜息をついた臣は、折っていた腰を伸ばしてキッチンに戻ろうとすると、手首を掴まれ阻止される。
「臣、ポッキー買ってきてよ」
予想通りの反応に、臣は隠さず深く溜息をついた。
「またくだらないことを考えてるんじゃないのか」
「違う違う、単にポッキーが食べたいだけ」
「お前がポッキーを食べてることなんか見たことないけどな」
「いーから早く買ってきて」
臣の手を離して適当にあしらうと、李央はまたスマホに夢中になった。
一度言い出すと何を言っても聞かない李央の性格をよく知る臣はやりかけの皿洗いを放り投げ、仕方なく近くのコンビニへと向かった。
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