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11月11日②
「ほら」
夜風の匂いを纏って戻ってきた臣は、ドサリと乱暴に李央の腹の上にビニール袋を置いた。
「うわ、買いすぎ」
丸く太ったビニール袋を覗くと、片っ端から買ってきたんじゃないのかってくらいの、色々な種類のポッキーの箱が入っている。
「思う存分食べればいい」
「嫌味にしか聞こえない」
李央は適当に選んだ一箱を開けると口に咥えて食べはじめた。
コートを脱ぎながらその様子を見ていた臣は、李央の持つポッキーの入った袋から一本拝借しようと手を伸ばし指先に摘まむ。
「なに勝手に取ってんの」
「俺の金で買ったんだからなにも問題ないだろ」
袋から引き抜き口へ運ぼうとすると、李央はそれを邪魔した。
「これ、俺の」
「…おい」
臣の手首を掴んだ李央は引き寄せるように力を込めた。バランスを崩した臣はソファーの背もたれに手を突き、李央に覆い被さる体勢になる。
手首を掴んだままポッキーを咥えると、視線を上げて臣をジッと見つめた。
どんどん短くなっていくポッキーを食べる李央の唇が遂に臣の指に触れた。
ポッキーを摘まんでいた指と指の間にヌルリと舌が入り込み往復する。
「ッ、分かってたのにまたハメられた」
「臣…もっと頂戴」
臣は悔しそうな表情を見せ、段々と上気する李央の好きにさせた。
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