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「何をぐだぐだ悩んでるのか知らんが、思い切り、声出せ!腹の底から!よし、落ちるぞ!」 「父さんのせいでしょ!ばか!」 「なんだと?ばか!馬鹿って言ったやつが馬鹿なんだぞ?」 「彰、うるせぇ!」 「空海。僕ね。彰さんが大好きだよ。だから、空海にも彰さんを好きになってほしっ、わぁぁぁ~!」  ジェットコースターはオレ達の言葉を乗せて落下していく。それは、大きかったり小さかったりを繰り返し。あっという間に終着点を迎え。気が付けば、オレと父さんは息切れするまで、叫びあっていて。多分めちゃくちゃ恥ずかしい親子だと思う。でも、なんかすっきりしたし、多分、気分が高揚してたんだと思う。だから  。 「あの、オレ!大地先生と暮らしたいです。空海くんにはさっき、変な言い方しちゃったけど。オレ、みんなと一緒に居たい……っ!」 「基……」 「基くん……」  嬉しそうに笑う父さんと大地先生の横で、舌打ちが打たれる。そして空海はオレの前に立つと、オレを睨み上げる。 「基がそっち側に行ったら、俺だけが悪者になんだろっ?」 「うん、ごめん。でもオレはやっぱり、大地先生と。キミと暮らしたい」 「くっ……そ。ずるいんだからな。そう言うの……」 「そう言うの……?」  空海が何に怒って頬を赤くしているのかよく分からない。 「ぐっ……さっきの……」  思い当たる節があり過ぎてどれだか分からない。 「ごめ……」 「ぬあぁぁ~!彰の事はムカつくけど。基がどうしても、って言うんなら、一緒に。暮らしてやても、いい……!」 「え……?本当に?」 「なんだよ、その言い方っ!基と一緒に暮らしてやるって言ってんだろっ?!」  空海の中でも自問自答して導き出した答えのだろう。地団太を踏みながらも、空海はオレを見てはっきりと言った。 「ありがとう。嬉しい」  そう言ったオレを、空海は数秒。茫然と見ていた。  それからオレ達は、空海が指定したルートに沿って順調に乗り物に乗り、遊び疲れた空海は車に乗るなり、すぐに眠ってしまった。 「あの。大地、せんせ……助手席。変わって貰ってもいいですか?」 「もちろんだよ」  適当な場所で車を停め、オレと席を変わる大地先生の顔が嬉しそうで、オレまで嬉しくなってくる。  これから毎日大地先生と居られる。そう思うと自然と顔が綻んだ。

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