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第1章第57話

なんだかモヤモヤしたままデートって……。 だけど暁に訊いても 答えてくれなそうだし……。 隣にいる暁は目を輝かせながら 楽しそうに笑う。 俺はその雰囲気を壊したくなくて 結局なにも訊けないまま。 お互いの服を選んだり ヒールのないブーツが欲しいと 暁が言うので靴屋に行けば 店員には完全に女の子と間違えられるし だけど、暁は楽しそうに笑うから 俺は引っかかる物はあるけれど 2人の時間を楽しんだ。 こうやって一緒に過ごして感じる。 横にいる恋人は表情が豊かだ。 笑ったり俺の言葉に少し 驚いたり!泣ける映画を観れば 大きな瞳からはポロポロと涙を流す。 本当に純粋で素直な子……。 やっぱり俺は暁が好き。 だからこそ、気になるあの男 一体何者なんだ? 「大和?大和!」 「え?……あ……悪い」 ボケっとしてる俺に暁は擦り寄るように 俺の隣でクレープを綺麗に完食。 「何考えてるの?」 「そ、それは……」 どうしよう訊いてみようか…… いや辞めておこう 「なんでもない、暁クリーム付いてるよ」 「へ?」 俺は暁の頭を引き寄せると ペロリと舌で舐めとる。 本当に一瞬だったが顔を離すと 暁は真っ赤になりながら 辺りをキョロキョロしている。 でも周りは誰一人暁が男 なんて思ってないし ただカップルがイチャついてる ようにしか見えないのだろ。

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