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第1章第63話

結局その日は暁と事務所で別れ帰宅。 1日振り返っても逢坂のムカつく顔に イライラしながら眠りについた。 折角のデートが台無しだ。 それから逢坂の顔は見なくて済んだものの 暁も仕事が忙しくなりデートどこではなく 連絡もなかなかつかなくなって半月以上。 本格的な仕事は学業が落ち着いたらと 広瀬さんから連絡があり 俺は学校と課題に追われていた。 月も変わり11月も半ば過ぎ 立ち寄った本屋で暁の雑誌を購入。 「これ撮影見に行った時のだ」 俺は久しぶりにルンルンで帰宅すると 雑誌を広げニヤニヤしながら 雑誌の中の暁にご満悦。 「俺の……恋人なんだよな」 思わず顔が緩む…………。 これからクリスマスもバレンタインもある。 あ、でも暁忙しいからな……。 一緒に過ごせるとは限らないか…………。 そんな事を1人で考えてると スマホが着信を知らせる。 「はい、もしもし」 片手でスマホを取り 雑誌に目をやりながら電話に出ると 「大和?」 久しぶりに聴く暁の声、 俺の胸はドクンと高鳴り 声は自然と弾んだ。 「暁、お疲れ様どうした?」 どうした?なんてカッコつけても 声がにやけてるのは明らかだ。 「あのね実は明日オフをもらって」 オフ?休みか……ならデート。 「だからさ明日大和の家行っていい?」 「え………………?」 家?俺はワンルームの自分の部屋を見渡す。 部屋は雑誌だらけで綺麗とは言えない。 「駄目かな?」 俺が黙っていると暁の声が明らかに沈んだ。 「い、いや……駄目って言うか汚いし それにまだデート1回しか……」 だって家ってつまりそう言う事でしょ? 早いんじゃ…………。 俺の不安が分かったのか 暁は静かに口を開く。 「ねぇ大和?僕の事好き?」 「あ、当たり前じゃないか!好きだよ、 俺が仕事受けたのは暁がいるから…………」 「ならいいじゃない別に……」 「へ?…………」 「僕も大和が好き、大和も僕が好き、 お互い好きならそれで いいじゃない?違う?」 違わない…………。 暁は俺よりしっかりしてて ビックリする程積極的。 「大和が嫌じゃなければ行きたい」 嫌な筈ないよ……。嬉しくて泣きそうだ。 「迎えに行く」 その言葉に暁の声は明るさを取り戻し 明日の約束をして電話を切った。 暁の言葉が胸にジーンと染み渡ったが この部屋に暁が来る。 そう思ってハッとする。 片付けなきゃ! 俺は掃除道具を買いに急ぎ その日は遅くまで 部屋の片付けに追われた。

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