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第1章第95話
暁side
ドキドキ────。
僕まで緊張して来た。
深呼吸して大和は目を開けると
その表情にドキッととする。
「…………さっきとはまるで別人だな」
司が思わず口にする。
颯真ですら驚きを隠せていない。
だって大和の表情────。
凄く格好いい。僕の知らない顔。
カメラマンさんがいいよ
なんて言いながらシャッターを切る。
「暁、お前アイツに何言った?」
颯真が思わず訊いてくる。
だけど────、
「教えない」
僕は大和に釘つけになりながら冷たく返す。
「ちぇ、暁冷たいな」
颯真がムッとした顔で呟く。
だけど僕の瞳には大和しか映ってない。
カメラマンさんがリクエストすると
大和は見事に応えてる。
どうしよう────本当に格好いい!
いつもより大人な表情で作りすぎず自然体。
あれ……僕だけを考えてるんだよね。
そう思うと僕の胸は高鳴るばかり。
撮影は順調に進み予定より早く終わった。
「お疲れ様、凄く良かったよ!
また撮らせてね」
良いモノが撮れたのか
カメラマンさんはご機嫌。
「お疲れ様良かったよ」
司も笑顔でそう言った。
大和は頭をくしゃくしゃし
ながら少し照れてる。
そして────、
「まあ初めてにしては出来た方だな」
面白くなさげに颯真が言うけど
颯真は滅多に人を褒めないから
彼にしたら最高の褒め言葉だ。
大和は少しビックリしてるけど
僕も大和に擦り寄り
小さな声でこう言った。
「格好良くてまた惚れ直しちゃった」
大和は耳まで赤く染めて
「暁のおかげ────有難う」
そう言っていつもの優しい顔に戻った。
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