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第1章第111話
あれから久しぶりに暁に出会えた。
俺の頭は暁だけでいっぱい。
が────────、
「…………大和君?訊いてる?」
広瀬さんの声に思わず
間抜けな顔をすると
横からバシッと頭を叩かれる。
「いてッ……」
「ボケッとしてんじゃねーよ
大事な話だからちゃんと訊け」
殴ったのは勿論逢坂────。
俺は殴られた場所をさすりながら謝った。
広瀬さんは少し困った顔しながら
ちょっと溜息を吐き真剣に話し出す。
「だからね、
オーディション受けてみない?」
オーディション?
俺の頭はハテナが飛ぶ。
「つまり、暁が今度写真集出すの、
それに相手役としてオーディション
をやるんだけどやってみない?」
なに?暁の相手役だ?
俺はやっと状況を把握し
思わず立ち上がった。
「まあまあ落ち着いて、
確かに恋人だし良い絵が撮れると
思うけど……特別扱いはなし、
ちゃんとオーディション受けて
選ばれたモデルが正式に暁の
相手役として写真集に出る」
そ、それってつまり
他の奴がやる可能性大?
それはマジ勘弁だろ!
「や、やります!やらせてください」
俺は意気込みを見せると
逢坂は鼻で笑い
「言っとけどお前かなり不利だからな、
経験もなし右も左も分からねー素人、
唯一は暁の恋人で
全然使えてないその見た目だけ」
む、ムカつく!
どうせ俺は素人だ。
だけど相手役なら話は別だ。
意地でも取ってやる。
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