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第1章第117話
大和side
暁が大変な思いを
してるなんて知りもせず。
いや、仕事が大変なのは
理解しているつもりだったけど
本当につもりだった。
本当の意味で何も分かってない俺は
呑気にバイトで貯めた金を崩して
クリスマスプレゼント買いに来ていた。
「やっぱり初プレゼントで
指輪とか重いよな……
てかサイズ知らねーじゃん」
少々ガックリしながらも
やっぱり身に付けてもらえる物が良くて
アクセサリーを見て回る。
「でも……仕事の時は外すよな……」
うーんどうしよう────。
「お客様恋人への
プレゼントお探しですか?」
「え、はい」
突然女優みたいな美人店員に
恋人へのなんて訊かれたら
恥ずかしくって顔が熱くなる。
「指輪とかですか?」
「あ、いや、指輪じゃなくて
別のアクセサリーがないかなと」
らしくなく慌てる俺に
美人店員はクスリと笑いながら
「でしたらこちら
なんていかがですか?」
ショーケースから取り出されたのは
キラリと光るクロスネックレス。
てっきりハート型のを
押し付けられるかと思ったから
意外────。
でもこれなら男の子が付けても
違和感ないし
何よりデザインがいい!
「こちら恋人への絆を
コンセプトに作られた物で
もし宜しければ」
絆か────。
ピッタリだ。よし決めた。
「これ下さい」
「有難うございます」
店員さんはにっこり微笑み
暁のイメージを伝えると
綺麗にラッピングしてくれた。
これでクリスマスに暁に渡せば
きっと喜んでくれる。
俺はルンルンしながらその日は帰宅。
そして暁から久しぶりにメールが来た。
クリスマス僕の家で待っててね。
その一言だったけど俺は幸せだった。
クリスマスまで数日。
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