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第1章第136話
俺はビクッとして
暁が起きないか確認した後
上半身裸のまま部屋を出る。
名前を見れば相手は広瀬さん。
まずい────。
セックスしてたなんて
知られたら怒られそうだ。
俺はゴホンと咳払いをし
上擦りそうな声を隠し応答する。
「もし、もし」
「もしもし?大和君?今大丈夫かな?」
俺は平静を装い大丈夫だと答えた。
「連絡出来なくて悪かったね、
暁は大丈夫?」
俺は寝室の方へ目を向け
「大丈夫です、今は寝ちゃって……、
でも起きてる時間も増えましたし
雑誌のチェックとかもしてるんで」
俺の言葉に広瀬さんは電話の向こうで
安堵したのがはっきり分かった。
「広瀬さんは大丈夫ですか?
仕事大変なんじゃ……」
「まあ大変ではあるけど、
皆分かってくれてね、
誰も怒ってないし
寧ろ心配してくれてる」
良かった────。
俺は心の中でホッとした。
正直今後の暁に
影響が出るのではと心配だった。
「暁はね、日頃から
それだけの仕事してるから」
「え?」
「暁はね凄くスタッフに気を遣うんだ、
遣い過ぎて心配になるくらい、
だから正直ね、倒れたのはそれも
影響しているのかも……」
広瀬さんの言葉に俺は言葉が出ない。
「仕事だけでも大変なんだ、
それ以外に神経遣えば
嫌でもストレス溜まる、
ましてや暁は俺に甘えないから
弱音も吐かないし、
もっと頼って欲しいのにね」
「……………………」
広瀬さんは真面目な声で続けた。
「俺に遠慮してるところあるんだよ、
この世界に引っ張り込んだのは
俺だから、全て引き受ける
覚悟はあるんだけどね」
覚悟か────。
俺は迷ったけど広瀬さんに
やはり伝えようと口を開いた。
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