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第2章第6話
暁side
あれから日が経ちオーディションは
最終選考を迎え、どうやら
神崎さんと大和で結論が出ないらしい。
「大和頑張ってるんだ」
お互い忙しくて会えない日々が続いてる。
僕は今日もスタジオで撮影。
終わったのが0時を回った頃、
司がスタッフと話があると
僕一人深夜の廊下を歩いていた。
薄暗い廊下は今でも
やっぱり気持ち悪い。
僕は足早に楽屋へ戻ろうとした時、
誰がか僕の肩に触れた。
「ひゃ」
気持ち悪い感触に僕は思わず声を上げ
後ろを振り向くと、相手はニヤリと
笑って僕に迫る。
「暁ちゃん会えて嬉しいよ」
目の前にいるのは
僕が大嫌いなカメラマン。
何でここに!?
近づいて欲しくないのに
彼はニヤついた顔で距離を詰めてくる。
「こ、来ないで」
つい本音がポロリ────、
だけど嫌なもんは嫌。
「酷いな、あんなに綺麗に撮って
あげたのに冷たいね」
じわりと顔が近づいてくる。
僕は嫌悪感で吐き気がした。
捕まったら逃げられない……
どうしよう────。
「暁ちゃん────」
男の手が伸びてきて僕は
その場から逃げ出した。
嫌だ嫌だ触らないで!
後ろから僕を呼ぶ声、
しつこく追いかけてくる。
楽屋は駄目………誰か……誰か。
頭に大和が浮かんだ瞬間だった。
曲がり角で僕の手が捕まれる。
「こっち────」
何がなんだか分からぬまま
その手に引っ張られ、
僕は誰だか分からぬ人と
ある一室へ逃げ込んだ。
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