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第2章第42話
大和side
昨日遅くに司さんからメールを
貰い暁が泊まると連絡が来た。
付き合いだしてからこんなのは
初めてで何かあったのではないかと
朝から落ち着かない。
俺を不安にさせる要素は
逢坂の言葉。結局教えてもらえなかった
けど、暁にすら確かめられずにいた。
「おい、訊いているか?」
いけないボーっとしていたら
また怒られる。俺が慌てて返事をすると
既に逢坂の顔は呆れ顔。
「そんなんじゃいつまで経っても
暁を安心して任せられないな」
「……」
嫌味を言われるのは慣れてきた。
それでも暁の事は別だ。
本当にこれじゃ俺はいつまでも
こいつに認めてもらえない。
「お前、今のまま順風満帆に
何事もなく暁といられるって
本気で思っているのか?」
再び考え事が始まる矢先、
まさかの言葉に俺は驚いた。
「……どう言う意味ですか?」
「お前には認めてくれる司もいる。
好きでいてくれる暁もいる。
認めちゃいないが引き離すつもりもない俺、
でもそれはお前の為じゃない、
暁が望んでいるからだ。まあどちらにしても
お前の邪魔をする奴は今いない」
「……」
確かにこいつの言う通り俺は恵まれている。
「お前が考えているかは知らないが、
いくら昔より認知されて来た時代とは言え、
俺等見たな存在はまだまだ批判も多いし
差別や偏見もある。ましてや俺等と
違ってお前等、特に暁は熱烈なファン
も多いし知名度が高いモデルって事
少しは認識しろ」
つまり……。
「お前との事が公になれば
今のお前以上にマスコミの格好のネタ
になるのは誰かよく考えるんだな」
「……」
「それともう一つ、オーデイション結果が
今日出る事を忘れていないか?
少なくても相手は暁の大ファンで、
恋人役を狙いに来ている存在だぞ?
相手には格好のチャンスだって事
お前分かっているか?」
「でも……」
今回の件で暁が男だって事は……。
「暁が男だから大丈夫なんて
思っているなら甘いな。
じゃあなんでお前は暁の側にいるんだ?」
「……それは」
「お前みたいに引き下がらない奴なら
お前はどうする?」
そんなの――考えた事なかった。
俺は逢坂の言葉に初めてハッとする。
目の前の顔は増々呆れ顔になり
俺は自分の考えの甘さが露呈した。
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