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第2章第43話

暁side 朝起きて目が覚めると そこは司の部屋で僕は寝てしまった のだと気づく。起きてリビングに 行けば司は優しく微笑んだ。  午後から撮影があるにも関わらず 鏡で見た自分の顔のあまりの酷さに愕然とする。 泣きはらした目は真っ赤に腫れパンパン。 これじゃ不味い。  僕は司に促されるまま、撮影ギリギリまで 目を冷やし、なんとかメイクで誤魔化した。 昨日の今日で気持ちが整理できたかと 言われれば出来てはいない。 けれど、仕事は待ってくれない。  僕一人の感情で多くの人が 関わる仕事を放り投げることは出来ない。 唯一それだけは確かだった。  夜には撮影も無事終わり スタッフに挨拶をして楽屋に戻ると 気持ちは落ち着いていた。  僕はメイクを落としつつ 司が現れるのを待つ。 もう結果は出ている筈だ。  静かに脈打つ鼓動。 そこへ司が入ってきた。 「暁、お疲れ様」 「お疲れ様」  鏡越しに司の顔色を伺う。 でもやっぱりどちらかまでは 伺い知れなかった。 司はソファに腰かけ息を吐いて口を開く。 「暁、オーデイションの結果が出たよ」  本当は内心ドキドキして堪らなかったけど 僕は静かに訊いた。 「どっち?」  それが精いっぱいだった。 油断したら声が震えてしまいそうで 言葉に出来ない。司の顔もまともに 見れなくて、僕は鏡越しに覗いた。 「今回、暁の相手役は……神崎君に決まった」  司から発せられた名前は大和ではなかった。 僕は静かに息をのんで吐いた。 「そう、わかった」  司は心配そうにこちらを見ているのが分かる。 「暁……」 でも――。 「大丈夫だよ」  僕はそれ以上口にしなかった。 司も何か言いたげではあったけど、 それ以上は何も言わなかった。  大和はもう颯真から告げられたのだろうか?

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