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第2章第9話

大和side 「はぁ?」 今何言った逢坂────、 俺の聞き間違いじゃないはずだ。 「うるせーなぎゃーぎゃー」 俺のうるさいぐらいの叫びに 逢坂は両耳塞いでウザ顔見せる。 「だって今………」 「だから、オーディションが お前と神崎で決まらないから、 暁と実際に撮影して決めるんだと」 「!!」 俺の口はあんぐり開いたまま 塞がらない。 「それが、たまたま神崎からって カメラマンが決めただけだ」 なんて事だ!! 俺が頑張って奪取したとしても、 少なくても1回はアイツが暁の 隣に────。 「気に入らねーなんて言っても これは仕事だ、 お前の口出す幕じゃない」 「…………」 俺は言葉にすらならず、 明らかご機嫌斜めな面になる。 「あのな、お前そんな顔下げて 暁に絶対会うなよ」 「なんで」 俺の言葉に逢坂の表情は険しくなる。 「これは暁の仕事だ、私情挟むな。 特に暁の前ではな……」 「…………」 「あいつは割り切ってる。 お前みたいにブーブー言わない。 プロだからな」 「……………」 「それにこれから誰かと仕事するのは お前のが断然増える。それでも暁は お前にそんな顔は絶対見せないし 文句も言わない。お前が甘いのは、 プライベートと仕事が 割り切れてないとこだ」 割り切り────、 誰かと仕事────────。 考えても見なかった。 ただ暁の側にいたくて この世界に飛び込んだだけの俺。 暁は本当に何も言わないんだろうか? 俺以外の誰かの隣で、天使の顔を 見せるんだろうか………。 逢坂に怒鳴られてる側から そんな事……俺は甘い? 「そんな顔してるようじゃ この世界は無理だな。 恋人にも相応しくない」 ボケッとしてりゃ言いたい放題、 「そこまで言われる筋合いないだろ」 俺はガバッと立ち上がると怒鳴った。 でも……目の前のこいつが ビビる人間じゃないのは分かっている。 「そうだな!でも、暁の気持ちを 考えるなら今のお前は不釣り合いだ。 頭冷やしてこい」 逢坂はそう冷たく言い放つと 俺を楽屋から追い出した。 「ちょ────」 「恋人がそんな顔してたら 暁はどう思うかよく考えるだな」 反論も出来ず扉を勢いよく閉められた。 そんな顔───。 俺は仕方なくトイレに行き鏡の前に 立ち尽くした。 逢坂の言う通り、見っともない面。 本当、どうしようもなくらい情けない。 結局逢坂の言う通り、 撮影に関して暁からの 連絡はないまま、 暁と神崎の撮影日を迎えた。

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